理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 285
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骨・関節系理学療法
頚部症状を有するラグビー選手へのテイラーメイドの枕の有用性について
*山口 泰成山田 朱織熊谷 日出丸
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キーワード: 頚部症状, スポーツ外傷,
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抄録

【目的】コンタクトスポーツの中で特に,ラグビー選手における頭部・頚肩部外傷は多く,それに伴う頚部痛,いわゆる肩こり,しびれなどの頚部症状は高頻度で出現する。今回,頚部症状を有するトップレベルのラグビー選手が一定期間,テイラーメイドの枕(以下 枕)を使用することで頚部症状に改善を認めたか検討を行ったので報告する。
【方法】対象はトップレベルのラグビー選手,男性15例 (ヤマハ発動機),年齢は22~39歳,平均28.4歳。 15例とも頚椎疾患または頚部スポーツ外傷歴があり何らかの頚部症状を有した。方法は,枕(整形外科枕 株式会社山田朱織枕研究所)を使用。枕の計測および調節は同一検者が行い,各選手の頚椎が仰臥位では臥床面に対し,5~10度前傾位。側臥位では頭部と体幹部の中心線が臥床面に水平となるよう,適当な高さに調節し使用した。使用期間が短期使用群(3週間)6例をA群,中期使用群(6週間)9例をB群とした。頚部症状は 日本整形外科学会治療成績判定基準を一部改変した評価(以下MJOAs)を使用。評価内容は自覚症状9点,他覚所見10点,ADL16点,満足度3点の4項目で38点満点とした。
【結果】A群:MJOAsでは枕の使用前平均点が22.0±7.0点,使用後平均27.3±6.0点と有意な差が認められた。(p<0.05)改善率33.1%。しかし自覚症状,他覚所見,ADL,満足度の 各項目で,改善は認めたものの有意な差は認められなかった。B群:MJOAsでは使用前平均21.9±5.4点,使用後平均30.3±5.4点と有意な差が認められた。(p<0.01)改善率52.2%。また,ADL項目でも使用前平均9.2±3.0点から使用後平均12.4±2.8点(p<0.01)改善率47.1%。満足度項目でも使用前平均0.1±0.3点から使用後平均2.2±0.9点(p<0.001)改善率72.4%とそれぞれ有意な差が認められた。とりわけ自覚症状の上肢痛・しびれ(p<0.05),他覚所見の頚椎神経根症の圧痛点トリガーポイント(p<0.01)に有意な差が認められた。ADL上では,同一姿勢での背部痛,不眠・熟睡感のなさ,起床時のいわゆる肩こり・頭痛・手のしびれの改善が著明であった。
【考察】テイラーメイドの枕によりトップレベルのラグビー選手の頚部症状に改善を認めた。これは枕のフラット構造と頭頚部の適当な位置により,自然な寝返りと頚部の安定が保持されたためと考えられる。これにより運動療法だけでなく静的な治療も重要な一手段と考えられる。さらに長期使用例に有意な改善がみられたことは継続の意義を示唆するものであり,競技中のパフォーマンスにも好影響を及ぼすものと考えられる。

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© 2004 日本理学療法士協会
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