理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 301
会議情報

骨・関節系理学療法
Quadriceps settingにおけるハムストリングスの活動について
*富樫 俊文高間 則昭
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】現在、Quadriceps Setting(以下Setting)は様々な方法が散見される。しかし、その中でも枕を押す際、膝完全伸展しながらのSetting(以下伸展位)と、膝屈曲位でのSetting(屈曲位)については明確にされていない。そこで、本研究では筋電図を用いHamstringsを含めた大腿の筋の活動性の違いにより検討した。また、屈曲位の状態で膝後内側面にPadを挿入したSetting(以下PAD)における、Hamstringsの内・外側の活動性の変化も検討した。
【方法】対象者は健常成人男女各7名の計14名で年齢21.7±1.2歳であった。被験筋は右下肢の内側広筋(以下VM)、外側広筋(以下VL)、半腱様筋(以下SD)、大腿二頭筋長頭(以下CL)の4筋、測定条件は伸展位、屈曲位、PADの3条件とし、積分値にて比較検討した。測定肢位は右膝後面中央部に枕を置いた股関節60°屈曲位の長座位。3条件のSettingをランダムに選択し、各条件施行時の表面筋電図を5秒間3回測定した。なお筋電計はMyosystem1200(SAKAI社製)、解析ソフトはMyoresearchを用いた。統計方法は条件の2,3回目の積分値を座位姿勢で膝90°屈曲位での伸展、屈曲最大筋力の2回の平均値で正規化し、分散分析行い有意差を確認後、多重比較検定(Bonferroni法)を行った。有意水準は5%と設定した。
【結果】VMは伸展位(67.9±22.9%)、屈曲位(36.7±24.5%)、PAD(33.2±22.6%)、VLは伸展位(82.0±28.9%)、屈曲位(37.4±25.8%)、PAD(36.2±27.6%)と両筋とも伸展位は屈曲位、PADに対して優位に大きくなった。SDは伸展位(25.9±28.8%)、屈曲位(56.8±29.9%)、PAD(51.3±24.9%)、CLは伸展位(40.6±37.6%)、屈曲位(84.5±29.2%)、PAD(78.1±31.9%)と両筋とも屈曲位、Padが伸展位に対して優位に大きくなった。しかし、いずれの筋も屈曲位とPADの間には有意差は認められなかった。
【考察】屈曲位はVM 、VLの活動性は伸展位に比べ低下するが、SD、CLの活動性が増加し、同時収縮が認められた。これは非荷重であるが屈曲位は踵が床に接触した肢位であり、閉鎖運動連鎖に近い運動であるためと考えられる。また、VMに関して屈曲位は36.7%と低く、VMの筋力増強としての効果は低いと考えられ、大腿四頭筋の選択的なトレーニング目的とするならば完全伸展位にて行わせ、同時収縮により関節を安定させた状態でのトレーニング目的ならば屈曲位が優れていると考えられる。また、今回の結果からは、Pad挿入することの有効性は認められなかった。Padの高さ、位置等を今後の課題としたい。
著者関連情報
© 2004 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top