理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 400
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骨・関節系理学療法
男女腰痛症77症例に対するスパイラルテーピングの処置とその評価
*大畠 純一大畠 誠三浦 悟野呂 三之野呂 英行當瀬 規嗣
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抄録

【目的】男女腰痛症77症例にスパイラルテーピングの処置をし,VAS法(Visual analogue pain scale)とFFD変法(Finger Floor Distance)で評価した.その比較検討を報告する.
【方法】男性腰痛症17症例と女性腰痛症60症例である.当院に通院している腰痛症患者を対象とした.
 テープはエクセルスパイラルテープB型タイプを使用した.テープの貼付方向は左方系に,型は筋肉型45度に貼付,貼付部位は大畠方式でヤコビー線を男女の境界線として,第4腰椎を女性の好発部位,第5腰椎を男性の好発部位とし,脊柱から一横指半と三横指に左右2枚ずつ貼付した.
【結果】VAS法の男性腰痛症17症例ではTaping貼付前10cm,貼付後では1.29cm,改善7.65cmであった.女性腰痛症60症例ではTaping貼付前10cm,貼付後0.8cm,改善9.2cmであった.
 FFD変法の男性腰痛症17症例ではTaping貼付前-10.23cm,貼付後1.59cm,改善11.82cm,女性腰痛症60症例ではTaping貼付前-2.58cm,貼付後では11.28cm,改善は13.86cmであった.
【考察】痛みは神経生理学的には三種類あるが一番目は皮膚感覚の中に入る痛みである.皮膚が切れケガをした時,つねった時,注射針が刺さった時の痛みである.二番目は深部痛覚である.これは筋肉痛などで筋肉の筋膜とか,関節のまわりの関節包とかによって痛覚を感じる.三番目に内臓痛覚というのがある.内蔵から伝わってくる痛みのことで,いわゆる腹痛である.この三種類は全然種類の違う痛みであるが,スパイラルテープの目標となる痛みは深部痛覚が関与していると思われる.今回のテーピングは結果においても改善が見られ,これはテープを貼付してすぐに効果がでるのは神経伝達速度が筋紡錘からの遠心性情報が速い.その影響を受けているものと思われる.しかし,テーピングがどうして,関節可動域の改善に関与しているのかその機序は推論の域をでない.今後の研究課題としたい.
【まとめ】男女腰痛症77症例にスパイラルテーピングの処置をした.疼痛はVAS法で関節可動域はFFD変法にて評価をした.腰痛症にはスパイラルテーピングの処置で改善が示されたことは有効と考えるが,科学的な研究はこれからだと思われる.

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© 2005 日本理学療法士協会
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