理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1146
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生活環境支援系理学療法
中国黒竜江省小児脳性麻痺防治療育中心における肢体不自由児療育の現状
*小塚 直樹乾 公美李 海華姜 志梅李 暁捷
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抄録
【目的】平成14年7月21日~8月4日、平成16年2月19日~27日、平成17年8月14日~24日の3回、中国黒竜江省佳木斯市において、黒竜江省小児脳性麻痺防治療育中心(黒竜江省療育センター)を拠点とし、現地の肢体不自由児とその家族に対する療育指導に携わる機会を得た。その際、治療や指導を行った症例について、現状調査および後方視的調査を実施した。この結果をもとに、現在の黒竜江省療育センターが抱える問題、その問題から類推することができる中国の肢体不自由児療育の現状と問題、とりわけ脳性麻痺児の療育が抱える問題について考察を加え、報告することを目的とした。
【方法】期間中に黒竜江省療育センターに母子入院していた症例、および外来受診した症例の中から、本調査に関する口頭での説明を行った後、同意の得られた97症例をその対象とした。調査内容は、診断名、在胎週数、出生体重、発達障害を引き起こしたと考えられる危険因子など、運動発達障害児に対して一般的に実施される後方視的調査に加え、現在の運動発達レベル、実施中の運動療法、関節可動域検査、粗大運動機能評価などの理学療法評価である。また脳性麻痺に関しては特にGMFCSによる分類を行った。
【結果】97名の年齢は3ヶ月から13歳までの範囲に分布しており、その平均年齢は2歳8ヶ月、男児は60名、女児は37名存在していた。肢体不自由起因疾患に対する医学的診断はCPが66名と全体の68.0%を占めていた。CP riskは19名で20.0%、精神遅滞は9名で9.3%であり、頭部外傷後遺症、学習障害、神経筋疾患疑いが1名ずつであった。
【考察】1.肢体不自由という身体障害に対する正しい認識が乏しく、その障害に対して、「正常化」を強く求める傾向がある。また医療費が高額なため、リハビリテーションを受けられる対象者が社会の一定層に限られており、これらのことを考慮に入れた地域リハビリテーション構築に向けた思想の熟成に対する支援が必要であると考えられた。2.現地療育チームの中にCPの姿勢と運動の異常を統括的に管理する整形外科医が存在しておらず、成長に伴う筋骨格系の管理が不十分な故に生じる下肢変形が早期に発生していると考えられた。3.QOLの概念は未だ考慮されておらず、幼稚園や学校での生活を想定したADLを目標とする治療計画がなく、目標の設定は機能的な面に集中し、とりわけ歩行に関する予後に家族およびスタッフともに高い関心を示した。「障害児を育てる」という観点から、家族を支援する体制作りが必要と考える。
 中国での肢体不自由児療育事業については、少なくとも以上のことを配慮した上で展開されることが望ましいと考えられた。
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© 2006 日本理学療法士協会
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