理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 142
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神経系理学療法
ボディイメージの発達と加齢変化
*山田 実上原 稔章小野 玲平田 総一郎
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キーワード: ボディイメージ, 発達, 加齢
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抄録
【目的】
ボディイメージの正確性は、動作スキルの向上に重要な役割を果たすと考えられる。運動学習過程においてもボディイメージの正確性は有効的に働くと考えられ、近年ではリハビリテーションへの応用もなされるようになってきた。しかしながら、動作のスキルが低い高齢者や児童などでボディイメージを検討した報告は数少ない。本研究では発達段階にある児童から、加齢による影響を受けた高齢者までを対象に、テップ動作を用いたボディイメージを測定し、その傾向を検討した。さらに高齢者では転倒経験との関連性を検討することで、ボディイメージが身体能力を反映しているのか検討した。
【方法】
対象は6歳から94歳までの158名(年齢; 49.7±26.1歳、身長; 155.8±12.8cm、体重; 51.1±14.1kg、BMI; 20.6±4.8)である。側方へのステップ動作をイメージもしくは実際の運動により測定した。イメージの場合には、静止立位閉眼にて自身の最大側方ステップ幅を、両上肢の示指によって示してもらい、その間の距離を測定した。実際の運動の場合には最大側方ステップ時の左右の母趾と母趾の間の距離を測定した。イメージを行った後に実際の運動を行ってもらい、実際のステップ幅を「1」としたときのイメージのステップ幅の比率を求めた(mental/ actual 比; M/A比)。
【結果】
全対象者のM/A比は0.85±0.27であり、20歳を頂点とした一峰性の分布となった。つまり、20歳までは年齢とM/A比は正の相関関係を有し(r=0.369、p=0.029)、20歳以降は負の相関関係を有した(r=-0.317、p<0.001)。さらに60歳以上の高齢者になると転倒経験高齢者(M/A比=0.72±21)、非転倒経験高齢者(M/A比=0.83±21)であり有意な差を認めた。(p<0.05)。
【考察】
ボディイメージは20歳まで発達し、その後、加齢による影響を受けその正確性は低下していくことが示唆された。さらに転倒経験高齢者では、より顕著にボディイメージの正確性が欠如していることが明らかとなり、ボディイメージの正確性は身体機能を反映しているとともに、転倒リスクの評価としても有用である可能性が示唆された。
【まとめ】
ボディイメージの正確性は高齢者および児童で低下しており、転倒経験高齢者ではさらに低下していることが示唆された。今後のリハビリテーションへの応用が期待される。
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© 2007 日本理学療法士協会
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