理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 151
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神経系理学療法
感染後横断性脊髄炎に対する理学療法
対麻痺症状を呈した症例へのアプローチ
*橋田 剛一井上 悟阿部 和夫
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キーワード: 脊髄炎, 対麻痺, 理学療法
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抄録

【はじめに】感染後横断性脊髄炎では感染後に脊髄が横断性に障害され、運動麻痺・感覚障害及び膀胱直腸障害などが生じ、後遺症が問題となる。今回、対麻痺症状を呈した2例を経験したので報告する。
【症例1】36歳、女性。感冒症状発現の10日後頃より排尿障害、対麻痺が出現し、近医から当院に転院し、急性横断性脊髄炎と診断され、入院後12日より、往診で理学療法(PT)開始。筋力は下肢近位部1~1+、遠位部2-~2、上肢は4であり、弛緩性対麻痺とTh7以下での表在感覚中等度鈍麻、深部感覚は軽度鈍麻を認めた。坐位・起居動作は介助が必要であり、ADLでは食事動作以外で介助が必要であった。尿意はなくバルーン留置状態であった。開始時ASIA(motor)は52点、FIM は62点であった。車椅子移乗動作、坐位、起居動作練習からPTを開始した。開始後15日頃より下肢の痙性が出現したため立位練習を展開し、開始後22日より、ロフストランド杖等を用いて歩行練習も行った。開始後37日のリハビリ転院時には筋力は上肢5、下肢は近位部3+~4-、遠位部4-~4、表在・深部感覚は軽度鈍麻に改善した。起居動作全般は自立し、立位保持は軽度wide baseで可能となった。歩行は両ロフストランド杖レベルとなった。ADLは最少介助レベルで可能、自己導尿管理が自立した。終了時ASIAは84点、FIMは 94点であった。
【症例2】43歳、女性。頭痛、下肢のしびれ感出現、近医に入院。その後対麻痺が出現、徐々に臥床状態になった。発症後2ヶ月で当院に転院し、横断性脊髄炎と診断され、入院後16日より、往診でPT開始。筋力は下肢近位部で右1、左1+、遠位部で右0~1、左1~2であった。上肢は4-~4であった。Th7以下での表在及び深部感覚の重度鈍麻を認めた。ADLはほぼ全介助で、尿意はなくバルーン留置状態であった。開始時ASIA(motor)は 51点、FIM は60点であった。PTでは、早期離床目的でベッド上動作、坐位練習から開始、開始後10日には、車椅子移乗まで進めた。開始後37日より車椅子出診を開始し、下肢痙性の出現に応じ立位練習も進めた。開始後55日のリハビリ転院時には、筋力は上肢5、下肢近位部で右2~3+、左2+~4-、遠位部で右0~2-、左2+~3+となった。移乗動作は修正自立、床上動作は監視下で自立し、立位練習レベルまで至った。ADL全般は介助レベル、排尿はバルーン留置のままであった。終了時ASIAは69点、FIMは 72点であった。
【まとめ】やや異なった経過を辿った2症例を比較することで、早期からPT介入する必要性と痙性の出現、機能回復に応じて立位・歩行へのアプローチにつなげていく重要性を認識した。また、脊髄炎後遺症の長期的な回復を見越したPT介入も求められることが示唆された。

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© 2007 日本理学療法士協会
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