理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 871
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骨・関節系理学療法
general joint laxity例の膝関節スクリューホームムーブメントの解析
*野澤 涼石井 慎一郎
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抄録

【目的】
靭帯損傷などの外傷が存在せずに,生来的に靭帯や関節包が緩い場合、general joint laxity(Carter、Wilkinson、以下GJL)と定義される。特に女性に多く、明らかな臨床症状は認められない場合が大半である。しかしながら近年、変形性関節症の発症因子として、生来の関節弛緩性の存在が報告されており、GJLの存在が関節の異常運動に結びついている可能性が示唆されている。そこで今回、靭帯の緊張バランスによって、膝関節伸展時に脛骨が自動外旋するスクリューホームムーブメントに着目しGJLにより靭帯の緊張が緩いとされる場合の膝関節の運動動態を調べたので報告する。
【方法】
対象は明らかな関節病変を有さない健常被験者13名(男性6名、女性7名、以下A群)と、靭帯損傷などの既往が無くlaxity testが陽性でGJLと評価された被験者5名(男性1名、女性4名、以下B群)とした。関節運動を正確に計測するために計測にはPoint Cluster法を用いた。被験者の大腿と下腿の所定の位置に23個のマーカーを貼付した。計測方法は三次元動作分析装置VICON612(VICON PEAK社製)を使用し、端座位で膝と股関節が90度屈曲位になる開始肢位から、膝屈伸自動運動を計測した。課題動作中のマーカーの位置を三次元動作解析装置で計測した。得られたデータを演算処理し、膝の屈伸、内外反、回旋角度、および脛骨の前後方向変位を算出した。
【結果】
A群は伸展するに従って、外旋角度が増加する傾向が見られた。B群では伸展開始時には外旋するものの、途中から内旋に切り替わる動きが見られた。また膝関節伸展時、脛骨の前後方向変位で相対的な前方移動量の増加が示された。A群:平均14.3±5.5度外旋がおき、前方移動は平均0.14±1.84cmであった。B群:平均8.28±5.39度の外旋がおき、前方移動は平均3.01±0.64cmであった。
【考察】
今回の結果からスクリューホームムーブメントには健常者においても数パターン存在し、最もオーソドックスなパターンは、伸展と伴に外旋が増加するタイプであることが示された。またGJL群で伸展開始時には外旋するものの最終域に内旋角度が増加し相対的な脛骨の前方移動量が大きくなった。これは靭帯の緊張低下によって側副靭帯の緊張バランスの変化したものによると考えられる。脛骨の前方変位は、側副靭帯の緊張バランスを大きく変えてしまう。靭帯の走行がLCLは、大腿骨から斜め後方に下降しMCLは反対に斜め前方に下降する。そのため靭帯の弛緩性により脛骨が前方へ引き出されるとLCLは緩み、逆にMCLは緊張を強める。この状態で膝関節が伸展運動を続けると、MCLの緊張により内側関節面での動きが制限され外側関節面のみが動くため脛骨は内旋することになる。これが伸展最終域に内旋角度が増加する原因だと考察する。この相違は膝関節内の回旋運動、回旋軸の形成と密接に関与しており膝関節内のせん断力との関係が示唆される。

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© 2007 日本理学療法士協会
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