理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1005
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骨・関節系理学療法
Olmsted syndromeに対するリハビリテーションの経験
足底装具を作製して
*児玉 了福本 和仁大内田 友美成瀬 亜紀芳田 なおみ島津 梨紗大串 幹本田 佳子入江 弘基坂梨 淳子水田 博志
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抄録
【はじめに】Olmsted syndromeは1927年にOlmsted HCにより報告された先天性掌蹠角化症であり、手掌と足底の過剰角化を主病変とし、口角、臍、外陰部、肛門の角化(periorifical keratosis)を伴う。乳児期に発症することが多く、しばしば角化部の悪性化を生じ、根本的治療法がなく難治性である。現在までに世界で32症例の報告がされているが、リハビリテーションアプローチの報告はない。今回本症候群のリハビリテーションを経験したので報告する。

【症例】5才男児、生後2週より掌蹠角化を認め、近医にて亜鉛欠乏性皮膚炎と判断されたが、亜鉛内服で効果がなく2歳時にOlmsted syndromeの診断を受けた。掌蹠角化症に対しては、当院皮膚科にて経過観察のみ行われた。5歳時、足底の角化が増加し悪性化の可能性が示唆された。またMRSA感染を合併して、治療に難渋したため、H17.4.27日当院に入院精査となった。H17.9.20日リハビリテーション部に紹介となり、リハビリテーション訓練が開始となった。立位・歩行訓練時の荷重時痛の訴えが強かったため、荷重足底圧測定器(i-step)にて、裸足での荷重時足底圧を測定した。立位・歩行訓練では荷重時痛を軽減するためにスポンジを足底に貼り付けて訓練を行い、疼痛が軽減し歩行も可能となったため、足底装具を作成した。

【結果】足底にスポンジを装着した場合と、今回作成した足底装具を装着した場合の両方の条件で、歩行距離15メートルの平均歩行時間を測定した。15メートルの平均歩行時間は、スポンジ装着で21.6秒、足底装具で21.1秒だった。Barthel Indexをリハビリテーション開始時、退院時、退院后1ヶ月、退院后6ヶ月に評価した。その結果、リハビリテーション開始時のBarthel Indexの点数は10点で、退院時は整容、入浴、階段以外は自立し65点だった。さらに退院后1ヶ月はトイレ、入浴、階段のみ介助になっており、85点と改善した。退院后6ヶ月では食事、整容、更衣の項目でレベルが低下し、70点に減少した。

【考察】本症例は裸足では疼痛のため歩行拒否だったが、足底にスポンジ装着を装着することで、歩行への受け入れができ、独歩が可能となった。しかしスポンジ装着では、つけはずしが繁雑になるために足底装具を作製し、足底装具装着での15メートルの平均歩行時間を測定したところ、さらに短縮が見られた。要因としては、今回作製した足底装具に使用したGPダイアソフトは、摩擦刺激が少なく、圧分散が可能な低反発性の素材である。そのため、荷重時、足底全面に圧が分散することで、その結果、疼痛が軽減し、独歩が可能となったのではないかと考えられた。現在も今回作成した足底装具装着での、自立歩行が維持されていた。しかし皮膚の過剰角化は改善が見られず、今後、皮膚の角化状況によっては、足底板の素材の変更の必要性が考えられた。

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© 2007 日本理学療法士協会
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