理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1361
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骨・関節系理学療法
神経筋電気刺激とデジタル動画・波形実時間同期収録装置(The Teraview)を用いた手根伸筋群の作用の解析
*長沼 誠外川 佑藤田 貴昭佐藤 寿晃藤井 浩美仲野 春樹寒河江 正明鈴木 克彦内藤 輝
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抄録

【目的】解剖学の教科書には、長・短橈側手根伸筋(ECRL・B)の作用は手根の背屈と橈屈、尺側手根伸筋(ECU)は背屈と尺屈と簡略に記載されている。これらの筋の作用をさらに詳しく知るために、神経筋電気刺激(ENS)による各筋の収縮で誘発される手根の運動(方向と可動域)と力(方向とトルク)を調べた。
【方法】対象は健常者7名(男、20-43歳)の右上肢とした。実験中、被験者は椅子に座り、肩屈曲0-20度、外転0-20度、内外旋0度、肘屈曲70-90度となるようにし、前腕を回内、中間、回外位にして台の上に固定した。運動と力の方向は、橈屈、尺屈、背屈、掌屈をそれぞれ0、180、90、270度とした。以下の筋電図、画像、位置、力の信号はデジタル動画・波形実時間同期収録装置The Teraviewを用いて記録した。
電気刺激(幅0.2 ms、周波数20 Hz、振幅0 - -20 Vの矩形波)は、各筋運動点に刺入留置したワイヤー電極とコンピュータ制御式刺激装置により行った。刺激筋に随意収縮が無いことを確認するために、表面電極を用いて刺激筋の筋電図を記録した。
運動の解析は、デジタルビデオカメラ3台による上、前、内側方からの撮影画像と、3Dポジションセンサーおよびリサージュ表示プログラムによる第3中手骨頭の位置の軌跡の記録を用いて行った。刺激前に前腕各肢位での手根の最大描円運動の軌跡を記録した。
力の解析は、著者らの作製した手根トルク計測装置とリサージュ表示プログラムによる第3中手骨頭部に発生する力の方向と大きさ(kg)の記録を用いて行った。運動の中心を橈骨と尺骨の茎状突起を結ぶ線と第3中手骨の延長線の交点とし、この点から骨頭までの距離(m)と力の大きさ(kg)から、手根にかかるトルク(Nm)を計算した。
【結果と考察】前腕回内、中間、回内位のそれぞれで、運動では、ECRLのENSで45-73、50-72、37-57度、ECRBで86-93、82-88、63-90度、ECUで170-228、161-178、100-128度方向に最大可動域(描円運動の軌跡)までの運動が誘発された。力では、ECRLで47-61度の方向に1.2-3.4 Nm、18-43度に1.1-3.0 Nm、16-50度に1.0-3.0 Nm、ECRBで72-84度に1.2-2.3 Nm、51-86度に0.9-2.7 Nm、65-95度に0.9-2.0 Nm、ECUで176-187度に1.3-2.0 Nm、146-166度に1.4-2.1 Nm、133-166度に0.9-1.9 Nmの力が誘発された。
以上の結果から、ECRLは橈屈と背屈、ECRBは橈屈よりも背屈、ECUは背屈よりも尺屈に作用することが示された。運動と力の方向に違いがみられたのは重力(手の重さ)が原因と考えられる。

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© 2007 日本理学療法士協会
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