理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1348
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理学療法基礎系
理学療法におけるサーモフォーカスの有効性
使用上の問題における対策とその効果について
稲葉 貴宏寄本 恵輔玉田 良樹大久保 裕史守本 秀行
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抄録
【目的】
サーモフォーカスとは赤外線測光で前額部温度を計測し,環境温度をもとに補正し舌下温度を算出する.この特徴は従来の体温計とは異なり非接触型のため清潔であること,体表面の温度の測定も出来ること,測定時間が3秒と短いこと,誤差が少ないことが実証されている.サーモフォーカスと舌下温については検討されているが腋窩温との比較はされていない.また,理学療法の評価機器としてサーモフォーカスを用いた研究は皆無である.今回,サーモフォーカスが臨床において有用的に使用できるのか、その有効性を明らかにすることにある.
【方法】
対象は健常者群50例(平均年齢20.7±3.4歳),患者群50例(平均年齢72±14.9歳),臨床評価群6例(体温測定3例,表面温度測定3例)の3群とした.対象者には事前に研究の主旨を説明し同意を得た.方法は,健常者群に対しサーモフォーカスの使用経験がない検査者が室温21°Cに設定した部屋で10分間滞在させた後に腋窩温(予測型電子体温計けんおんくんオムロン社)およびサーモフォーカスを同時に1回ずつ計測し,統計学的検討を加えた.また患者群に対し,使用経験が多い検査者が使用上の問題における対策を行った上で常温下にて同様の測定を行い,統計学的検討を加えた.統計解析は有意差検定にはT検定を,相関関係においては共分散分析をした後に,危険率を算出するためFisherのrのz変換を行った.また臨床評価群は体温測定3例について測定遂行時間,視覚的アナログメモリ法を用いての看護師や家族の疲労度について検討、表面温度測定3例については自覚的熱感評価,関節可動域テスト,下肢末梢循環評価についても同様に検討を加えた.
【結果】
サーモフォーカスの使用経験がない検査者ではサーモフォーカスと腋窩温の間に相関関係(r=0.195,p<0.1756)を認めず,使用経験が多い検査者では高い相関関係(r=0.661,p<0.0001)を認めた.臨床評価群より,急性期や重症患者の体温管理において迅速かつ経時的な測定が可能であり,腋窩温と比較し検査者の疲労度は極めて低かった.熱感評価や温熱療法の効果,末梢循環評価の客観的指標としても使用することが可能であった.
【考察】
サーモフォーカスの適応は幅広く,急性期から慢性期まで使用が可能であることが示唆され,病院での使用に留まらず,在宅での利用も期待されるものであった.また,自覚的訴えの乏しい意識障害患者,小児疾患,精神疾患患者に対しても極めて有効な評価機器になるものと推測された.さらに,使用上の問題点を考慮することにより,臨床の患者であっても腋窩温と近似し,理学療法における新たな客観的評価機器になるものと考えられる.
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© 2008 日本理学療法士協会
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