理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1473
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骨・関節系理学療法
日常生活での姿勢意識が静的立位姿勢アライメントに与える影響
増渕 喜秋平林 玄大中原 大輔長村 史朗上村 豊
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抄録
【目的】正中線上の良好な静的立位姿勢アライメント保持には筋力や可動性の他に姿勢意識の影響が考えられる。そこで今回日常生活における姿勢意識の違いが静的立位姿勢アライメントに与える影響を正中線からの変位の観点から検討したので報告する。
【方法】対象は研究の趣旨を説明し同意を得られた健常な当院事務・看護職員31名(平均年齢28.5歳±9.7歳、男性8名、女性23名)。質問紙法にて日常生活で立位姿勢を意識している群20名をA群、意識していない群11名をB群とした。静的立位姿勢評価は触診によりランドマーク(矢状面:耳垂・肩峰・大転子・膝蓋骨後面・外果前方、前額面:胸骨頚切痕・左右上前腸骨棘・左右脛骨粗面)を設定し、普段立っている姿勢の立位姿勢と、良い姿勢を意識した立位姿勢の、前額面と左右矢状面の計6枚をデジタルカメラで撮影。中心線を前額面では両母趾間中央の床との垂線、矢状面では外果前方を中心とした床との垂線とし、各ランドマークの中心線からの変位量の絶対値を、画像解析ソフトキャンバス8を用いて測定した。統計処理はA群B群の各ランドマークの変位量の差を対応のないt検定にて5%未満を優位水準とした。また良い立位姿勢の運動学的知識の有無を質問紙法にて調査した。
【結果】正中線からの変位量の平均は普段の立位姿勢(A群2.72cm、B群3.23cm)、良い姿勢を意識した立位姿勢(A群2.73cm、B群2.82cm)であった。各ランドマークにおいて普段の立位姿勢で右大転子(A群4.69cm、B群4.58cm)以外全ての値においてA群の値がB群に比べ低下していたが統計学的な有意差はみられなかった。良い姿勢を意識した立位姿勢においても各ランドマークで統計学的な有意差はみられなかった。また良い立位姿勢の知識は全ての被験者でないと答えた。
【考察とまとめ】今回の測定において日常生活での姿勢意識の違いで、各ランドマークの正中線からの変位量に差がないことから、日常生活での姿勢意識の違いでは、静的立位姿勢アライメントは変わらない結果となった。運動学において理想的な立位姿勢とは前述したランドマークが一直線に整列している場合をいう。アンケートより良好な立位アライメント指標の知識は全ての被検者がないと答えている。よって健常成人において今ある良い姿勢の意識は視覚的にも体性感覚的にも運動学的に良いとされる立位姿勢アライメントと差があることが予想される。今後良好な立位姿勢アライメントの知識や視覚的情報、体性感覚情報が立位姿勢アライメントに与える影響について調べていきたい。
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© 2008 日本理学療法士協会
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