理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 380
会議情報

内部障害系理学療法
NICUにおける呼吸理学療法の有効性と安全性に関する全国調査の結果
木原 秀樹廣間 武彦中村 友彦宮川 哲夫田村 正徳
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】「NICUにおける呼吸理学療法ガイドライン(2003年)」(以下ガイドライン)が報告された。新生児に対する呼吸理学療法(以下RPT)の有効性については不明点が多く、ガイドラインでは具体的なRPTの方法や手順についての提言はされなかった。そこで、アンケートによる全国調査を行い、極低出生体重児(以下VLBW児)における無気肺の発生因子、無気肺発生予防や改善目的のRPTの有効性と合併症の有無について検討した。
【方法】新生児医療連絡会施設を対象に2つのアンケート調査(調査1と調査2)を行った。調査1は83施設から回答を得た。調査2は36施設から回答を得た。分析対象は、挿管による人工換気を必要としたVLBW児203例(平均在胎週数28週4日±17.7日、平均出生体重1070±290g)であった。症例の分析期間を人工換気中と抜管後に分け、多重ロジスティック解析とχ2独立性の検定を用い、危険率5%以下を統計学的有意とした。
【結果】無気肺発生頻度は、人工換気中で13%、抜管後で2%であった。無気肺発生部位は、人工換気中・抜管後とも右上葉が一番多かった。無気肺発生の有意なリスク因子は、人工換気中では在胎週数(27週未満)、出生体重(1000g未満)、在院日数(3ヶ月以上)、治療を必要とした動脈管開存症合併、慢性肺疾患(以下CLD)合併、CLD3型、生後ステロイド全身投与、吸入療法施行、挿管による人工換気日数(1ヶ月以上)、24時間以上の高頻度振動換気管理、抜管後の再挿管であった。抜管後では在胎週数(27週未満)、出生体重(1000g未満)、CLD合併、挿管による人工換気日数(1ヶ月以上)、抜管後の再挿管であった。人工換気中のRPTでは、1~3時間毎の定期的体位変換と腹臥位を含めた体位変換施行が無気肺発生の有意な予防因子であった。定期的体位変換群は有意に閉鎖式気管内吸引用具を使用していた。定期的なRPT(気管内吸引と体位変換を除く)施行は、無気肺発生の有意な予防因子ではなかった。抜管後では、RPT施行の有意な予防因子はなかった。人工換気中・抜管後で、無気肺発生例に対するRPTは、手技の種類や施行頻度で無気肺の改善日数に有意な影響を及ぼさなかった。RPTに起因する神経学的障害や骨折などの合併症の報告はなかった。
【結語】VLBW児の無気肺発生に有意なリスク因子は、主に児の未熟性とCLDであった。人工換気中の無気肺発生予防となるRPTの因子は、腹臥位保持を含めた定期的な体位変換で、積極的なRPTやルチーンの気管内吸引は控えても良いと考えられた。定期的体位変換と気管内吸引用具の種類は影響因子であり、無気肺発生予防には、閉鎖式吸引用具の使用が望ましいと考えられた。無気肺発生例に対するRPTは施行者の熟練度などが大きく関与している可能性がある。

謝辞:アンケートにご協力いただきました各施設の諸先生方に深謝いたします。本研究は厚生労働科学研究補助金「主任研究者:田村正徳」によって行なわれた。
著者関連情報
© 2008 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top