理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 413
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教育・管理系理学療法
ゆとり教育を受けた,私立大学学生の学習と特性
アパシー傾向,自立度,学習スタイル
濱田 輝一福留 英明山本 広伸
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抄録

【目的】理学療法士志望(PT)学生の学習不成功と言える留年生や退学者の増加を契機として、学生の学習実態を把握する目的でH5年より学習スタイルについて調査研究し、加えて学生の社会性の低下やアパシー傾向の高さ、また自立度低下が関連するのではとの視点で平成12年から調査を加えてきた。今回、ゆとり教育を受けてきた最初の学年(本学、2006年度入学)に着目し、PT学生の幾つかの特性について整理したので、その結果を報告する。

【方法】調査の尺度は、1.アパシー傾向:鉄島らのアパシー傾向尺度31項目、2.自立尺度:福島が作成した41項目、3.学習スタイル:濱田が因子分析で抽出した尺度簡易版7因子17項目とし測定した。対象は、本学PT学生現役生63名(男35名、女28名。平均年齢18.33±0.48)。検討は前記3項目の相互関係の全体傾向と、その各細項目との関係を検討することとした。具体的には、1)アパシーと自立度の関係、2)アパシーと学習スタイルの関係、3) 自立と学習スタイルの関係。尚、検討の前段階として集団としての均一化の為現役のみとし、かつ各尺度への回答の信頼性保持の為の社会的望ましさ尺度で不適当と判断されたものは除外した。またそれぞれで全体傾向を知ることを本位とし、男女差がないことを確認し検討を行った。

【結果】1) アパシーと自立度:P<0.05、r=0.55で負の相関が見られた。つまりアパシー傾向が高い程、自立度が低くなった。自立の細区分、精神的自立度と社会的自立度では、精神的自立度にのみP<0.05、r=0.53で負の相関が見られた。2)アパシーと学習スタイルの関係:アパシー総合得点と7因子の関係では、有意な差は見られなかった。細項目アパシー「学業からの退却」尺度と「学習の仕方の創意工夫」尺度においてP<0.05、r=0.51で正の相関が見られた。つまりアパシー傾向の高い者は様々工夫した学習スタイルをとっていると言えた。3) 自立度と学習スタイルの関係:統計学的に有意な結果は得られなかった。

【考察】以上の結果から、H13年の調査と同様、アパシー傾向が高いと自立度は低いと言え、更に他人との協調や友人関係と言った社会的自立よりは、例えば「自分の将来に目標を持つ」と言った主体的自己や自己判断などの自立性とアパシー傾向は関係が深いことがわかった。またアパシー傾向の尺度である例えば「言われてもなかなか勉強しない。」「読書はすぐ飽きる。」「早く授業終わればいいと思う。」などの学業からの退却得点の高い者は、学習であれこれ工夫していることが伺えた。ゆとり教育が学生をPTになる以前に社会人として自立し立ち向かわせているか、また学習の成果としての広義の学力はどうなのかについても今後も見てゆきたい。一方で、この現状を踏まえ、学生教授方法の更なる工夫が望まれるものと言える。
現状を踏まえ、学生教授方法の更なる工夫が望まれるものと言える。

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© 2008 日本理学療法士協会
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