理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O2-024
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理学療法基礎系
当院の回復期リハビリテーション病棟を退院した脳卒中患者の在院日数について
中村 幸生藤井 洋鬼木 泰博
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抄録

【目的】2006年4月の診療報酬改定により回復期リハビリテーション病棟における脳血管疾患の入院期間の上限日数が150日に、高次脳機能障害を伴った重症例では180日に設定された.
熊本県で使用している脳卒中地域連携パスは、回復期リハビリテーションにおけるおおよその在院日数を、入院時のBarthel IndexやFIMの点数を目安として3つのコースに分けている.
そこで今回、当院の回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期)を退院した脳卒中患者の入院時のBarthel Index(以下、BI)と在院日数との関係を調査し考察を加えた.

【対象と方法】急性期病院で治療したのち当院の一般病棟に入院し、その後回復期に転棟した脳卒中患者で、2006年4月から2008年9月までに退院した193例を対象とし、脳卒中地域連携パスに従い入院時BIが100~85点をAグループ、80~55点をBグループ、50~0点をCグループに分け、「発症から当院入院までの日数」と「入院から回復期入棟までの日数」、「回復期での在院日数」について比較した.
さらにCグループを、「入院時BI別の症例数」と「回復期での在院日数が150日を越えた症例のBIの変化」について調査した.

【結果】平均日数について、全体では「発症から当院入院まで」が20.5±10.7日、「入院から回復期入棟まで」が30.6±11.5日、「回復期での在院日数」は86.9±42.5日であった.ABC各グループでは、Cグループの「入院から回復期入棟まで」が33.9±11.7日、「回復期での在院日数」においては102.2±38.5日で全体の平均値を上回っていた.
Cグループの「入院時BI別症例数」では、BI0点の症例が非常に多く、「回復期在院日数が150日を越えた症例のBIの変化」では、退院時BIが大きく改善している症例が多く存在した.ここのグループだけで在宅復帰率は57%であり、さらに上限日数を越えた症例が4例、うち3例が自宅復帰であった.

【考察】入院時BI0点の症例が多かったCグループの「入院から回復期入棟まで」が33.9日である事については、障害に加え全身状態が不安定な重症例の入院が多いということが示唆され、これが回復期入棟までの期間に影響したものと考えられ、Cグループの在院日数の延長にも影響していると思われた.
また、Cグループの在院日数150日を越える症例の調査から、当院では「必要性があれば、上限日数を超えるようであっても継続して入院リハを行う」という方針であるため、これも在院日数に影響したと考えられる.
昨今では、在院日数の短縮が求められており、努力義務でもあるが、実際には重症例も多く期間を要する症例も多い.そしてその中から大きく回復する症例があるのも事実である.
また、国の政策に対し現状では受け皿となる地域の整備が不十分であるため、入院リハがどうしても必要なケースや長期入院となるケースも存在すると思われ、これらも在院日数の延長に大きく影響しているものと考えられる.

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© 2009 日本理学療法士協会
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