理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P1-029
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理学療法基礎系
アップヒル、ダウンヒル走トレーニングによる筋組織の変化
西尾 俊亮垣内 望歩寺田 昌平伏見 恭一村上 幸一渡部 真紀今北 英高
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キーワード: ラット, 骨格筋, 走行
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抄録

【目的】走行様式にはフラット,アップヒル,ダウンヒルがある.これら走行後の筋細胞の機能的,構造的な変化のメカニズムは依然不明な点が多い.今回、本研究では走行方法の違いによる筋組織の変化を組織化学および生理学的分析から明らかにすることを目的とし,走行運動に対する基礎的知見を明らかにしたい.

【方法】10週齢のWistar系雄ラットを用いた.被検筋はヒラメ筋,長趾伸筋を用いた.計24匹をコントロール群(以下C群),フラット群(以下F群),アップヒル群(以下U群),ダウンヒル群(以下D群)の4群に分けた.走行運動群は20m/minの速度で1日30分,週6日,4週間のトレッドミル走行を行った.U群とD群はそれぞれ傾斜±8%のトレッドミルを使用した.走行終了後,それぞれの筋を摘出し,組織化学分析としてATPase染色およびSDH染色(筋タイプ別横断面積)を行い、生理学的分析としてin vitroの等尺性収縮(単収縮、収縮時間、1/2弛緩時間、強縮張力、疲労指数)を行った.なお,本実験は畿央大学動物実験倫理委員会の承認を得て,畿央大学動物実験管理規定に従って行った.

【結果】C群に比べ走行群では単収縮力の増加が見られた.また、疲労指数において,D群のヒラメ筋に有意な減少がみられ,長趾伸筋には増加傾向がみられた.また筋線維横断面積において,ヒラメ筋のtypeI線維はC群と比較し,F群は増加,D・U群は減少した.長趾伸筋のtypeI線維はC群と比較し,D群が増加し,U群は減少した.typeIIa線維は全ての群で有意な減少がみられた.

【考察】今回の結果では走行群すべてにおいて単収縮力の増加傾向がみられた.これは走行運動により筋活動量が増加したからと考えられる.また,走行様式の違いでは,アップヒルとダウンヒルとの間に疲労指数の大きな変化がみられた.これはそれぞれの傾斜ごとで筋の活動量が異なるためと考えられる.アップヒル走では主に抗重力筋であるヒラメ筋などにおいて求心性活動が増大し,逆にダウンヒル走では長趾伸筋などの足関節伸筋群への遠心性収縮活動への影響が大きくなったと考えられる.そのため,筋持久性を表す疲労指数において走行様式の違いによる特異的な結果が現れたと思われる.

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© 2009 日本理学療法士協会
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