理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P1-031
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理学療法基礎系
前足部への足底刺激によるリーチ動作に及ぼす影響について
丸尾 典生岩佐 厚志久保田 洋介村松 伸一村上 仁之
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抄録

【目的】姿勢制御における足底感覚情報の重要性について多くの研究者により指摘され,足底刺激の増大が立位安定性を向上させるとの報告がある.そこで今回,更に重心移動などを含んだ前足部への足底刺激がリーチ動作に及ぼす影響をFunctional Reach Test(以下:FRT)を用いて検討した.
【方法】対象は本研究に関する説明を十分に行い,同意が得られた健常者な男女9名(男性3名,女性6名),平均年齢27.1±4.05である.
測定方法は森尾らが提唱する指示棒を用いたFRT(Modified-FRT:以下M-FRT)を使用した.裸足になり両踵が軽く触れる程度に揃え,前足部はやや開脚した位置とした足位をとる.市販の22.3cmから117.3cmまで伸縮可能な指示棒を最長(117.3cm)に伸ばした状態で被験者の利き手で把持させ,肩屈曲90度に挙上させた姿勢をとらせた.その後,前方へ最大リーチし指示棒を壁に押し込む.検者は短縮した指示棒の長さをメジャーで計測した.これを同一被験者に足底刺激あり(以下,刺激あり)と足底刺激なし(以下,刺激なし)を行った.測定順序の選択は無作為に決定し,測定間には10分間のインターバルを設けた.足底刺激には前足部に市販のマジックテープ(10cm×20cm)を敷いた状態で実施した.
統計方法は各測定を5回試行し,後半の3回分を測定結果とし, 刺激ありと刺激なしの差を比較する為,対応のあるt検定を用いて分析し,有意水準を5%以下とした.
【結果】刺激なしでは,M-FRT距離の平均値は37.07±4.31cmであった.これに対し,刺激ありではM-FRT距離の平均値は43.13±6.32cmであった.刺激なしに比べ刺激ありではM-FRT距離において6.06±4.36cm(p<0.05)と有意に増加した.
【考察】本結果より足底刺激ありは有意なリーチ距離の拡大を認めた.これは,大久保らが足底からの圧情報が立位時のゆっくりとした身体動揺の制御に貢献するとしていることから,マジックテープを踏んだことにより足底刺激の増大が図れ,前足部での姿勢制御能力が向上し,リーチ距離が拡大したと考えた.また,大畑らによるとリーチ課題反復により重心移動距離の拡大を認めていることから,前方重心移動不良の症例に対し,前足部への足底刺激を行った状況下での反復リーチ動作訓練は前足部への重心移動を誘発可能ではないかと考える.しかし,本研究は足底刺激がリーチ距離の変化のみについてだけであり,運動制御については検討していない.今後は足底刺激が運動制御にどのように関わっていくのか検討したいと考えている.

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© 2009 日本理学療法士協会
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