理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P2-164
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理学療法基礎系
起立時循環動態における下肢ポンプ作用の影響
瑞慶覧 誠森本 陽介江西 一成
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抄録
【はじめに】理学療法遂行上,抗重力肢位は重要で,これを支える循環調節能の障害は起立性低血圧などの起立耐性異常の症状を惹起する.起立性低血圧に対し理学療法場面では,重力による下方への血液移動を防ぐ方法として,筋ポンプ作用を発揮させた下肢筋収縮や腹帯・弾性包帯などを駆使し,起立訓練を行う.しかし,これらの方法が起立耐性にいかに影響するかの報告は少ない.そこで,起立時循環動態における下肢へのポンプ作用がどのような影響を及ぼすのか確認したので報告する.
【方法】対象は本研究に対し同意を得た男性10名とし,循環指標として一回拍出量(SV),心拍数(HR),心拍出量(CO),平均血圧(MBP)を心拍出量計(MCO-101),電子非観血式血圧計で測定した.手順はTilt tableでの安静臥位後,60度起立負荷を10分間行い,循環指標を毎分測定した.下肢へのポンプ作用は,低周波刺激による筋収縮(筋収縮群),空圧マッサージによる他動的ポンプ作用(メドマー群)を行い,起立負荷のみ(control群)とともに循環指標を測定した.検討項目は各循環指標の起立後変化を各群内で,また起立後の安静時からの変化量を3群間で比較した.統計処理は,FisherのPLSDを用いた.
【結果】起立直後,SV(ml)は3群とも有意に減少し(筋収縮群-15±4,メドマー群-10±4,control群-24±4),SV減少はメドマー群が持続的に少なく,筋収縮群では若干少ない傾向であった.HR (bpm)は3群とも上昇した(筋収縮群8.8±1.4(p<0.05),メドマー群1.8±1.4,control群13.6±2.2(p<0.05)).CO(l/min)は3群とも減少し(筋収縮群-0.5±0.2,メドマー群-0.4±0.2(p<0.05),control群-0.7±0.2(p<0.05)),筋収縮群・メドマー群の減少は少ない傾向であった.MBP (mmHg)は3群とも有意に低下し(筋収縮群-4.8±2.7,メドマー群-4.4±2.8,control群-6.2±2.7),筋収縮群とメドマー群は血圧低下度が軽減される傾向があった.
【考察】生体は骨格を筋・皮膚で包む柔軟性に富む構造であるため,重力負荷に伴い血液は下肢方向へ移動する.その結果,低血圧傾向が引き起こされ,その変化を圧受容器が感知し,迷走神経・交感神経を介した体位血圧反射が惹起される.その結果,血圧の一定化が図られている.今回,起立時循環動態における下肢ポンプ作用の影響を検討し,メドマー群は起立後SV減少の軽減とその効果持続,さらに筋収縮群の部分的なSV減少の軽減という結果を得た.これは下肢ポンプ作用が下肢方向への血液移動の軽減作用,あるいは静脈環流の補助的作用を果たした可能性を示すものと考えられる.従って,臨床場面において起立負荷を行う際は,患者の障害像に応じた下肢ポンプ作用の活用が重要と考えられる.
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© 2009 日本理学療法士協会
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