理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-484
会議情報

骨・関節系理学療法
不安定面上における腰椎Stabilization Exerciseの体幹筋活動変化
大久保 雄金岡 恒治今井 厚椎名 逸雄辰村 正紀泉 重樹宮川 俊平
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】腰椎安定性の向上を図った腰椎Stabilization Exerciseは,より高い効果を求めてSwiss BallやBOSUを用いた不安定面上で行われるが,その効果検証はなされていない.そこで本研究では,腰椎Stabilization Exerciseを安定した基底面上と不安定な基底面上で行い,両者の体幹筋活動様式を比較することを目的とした.

【方法】腰椎疾患の既往がない健常成人男性9名(平均年齢24.1歳,平均身長170.4cm,平均体重62.2kg)を被験者とした.体幹深部筋(ローカル筋)である腹横筋(TrA),多裂筋(MF)にはワイヤ電極を,表層筋(グローバル筋)である腹直筋(RA),外腹斜筋(EO),脊柱起立筋(ES)に表面電極を両側に設置した.ワイヤ電極は超音波画像ガイドの下刺入し,電極を留置後,電気刺激装置にて目的の筋の筋収縮を確認した.Elbow-Toe,Hand-Knee,Back Bridge,Side Bridgeの各運動に上下肢挙上を組み合わせた試技を床の上(Stable)および不安定面上(Unstable)で行わせた際の筋活動を測定した.肢位が安定した1秒間のRoot Mean Square(RMS)を最大随意等尺性収縮(MVC)時のRMSで正規化した%MVCを算出し,StableとUnstableの%MVCをWilcoxonの符号付順位検定により比較した(p<0.05).尚,本研究は筑波大学人間総合科学研究科研究倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:590).

【結果】Elbow-Toeでは全ての筋においてUnstableで有意に大きな活動量を示した.Hand-Kneeの対側上下肢挙上時にはRA,EO,ESがUnstableにおいて有意に大きな活動量を示した.Side BridgeではUnstableにおいてRAの活動量が有意に増加した.Back Bridgeは条件間で有意な活動量の変化を認めなかった.

【考察】本研究の結果から,Elbow-Toeではローカル筋においても有意な増加がみられたものの,不安定面上での腰椎Stabilization Exerciseはローカル筋よりもグローバル筋の筋活動を促進することが示唆された.Swiss Ballなどを用いた体幹筋トレーニングでは,RAやEOなどグローバル筋の筋活動をより促進することが報告されており,本研究においても同様の結果となった.基底面が不安定になることにより,より大きな体幹前後屈方向や回旋制御のトルクが要求されたためと考えられる.

【まとめ】不安定面上での腰椎Stabilization Exerciseは,ローカル筋よりもグローバル筋の筋活動を促進させることにより体幹の運動制御を図っていることが示唆された.
著者関連情報
© 2009 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top