理学療法学Supplement
Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: PI1-083
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ポスター発表(一般)
等速性膝屈伸筋力
非運動肢支持の影響
田端 洋貴寺田 勝彦藤田 修平脇野 昌司井上 美里中前 あぐり辻本 晴俊菊池 啓
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抄録
【目的】筋力発揮には運動時の肢位や固定方法の違いなど多くの因子が関与しており、非運動肢の肢位が運動肢の筋力発揮に影響を及ぼすとの報告がある。今回、膝関節屈曲・伸展筋力発揮の際に非運動肢支持が姿勢調整の固定作用として働くことで、筋力発揮に影響を及ぼすのか検討した。

【方法】対象者は健常者29名(男性21名、女性8名)29脚、平均年齢23.2±3.3歳、身長167.9±7.8cm、体重60.2±9.0kgとした。すべての対象者には整形外科的疾患の既往がないことを確認した。測定側は右脚とし、被験者の利き脚はすべて右脚であった。膝屈伸筋力測定には等速性運動機器BIODEX system3を使用した。測定肢位は椅子坐位とし、付属のベルトにて体幹および骨盤、右大腿部を固定し、両上肢を胸の前で腕組みさせた。膝関節の運動範囲は0°~90°に設定し、角速度60°/sec、120°/sec、180°/secで求心性収縮(以下CON)、遠心性収縮(以下ECC)について、それぞれ数回の試行後に膝関節伸展・屈曲を各3回測定し、その最大値を採用した。各測定間の休息時間は30秒間とした。測定条件としては、非運動肢支持なし(以下支持なし)及び、付属のT-barを応用的に利用し、非運動肢足底をT-barに支持させる(以下支持あり)の2条件で膝関節屈伸筋力を測定した。得られた最大値をピークトルク値(以下PT値)として採用し、PT値とPT値を各被験者の体重で除したピークトルク体重比(以下%BW)について比較検討した。なお支持ありの測定は、支持なし測定1週後とした。統計学的分析にはSPSSを使用し対応のあるt検定を用い、有意水準は5%未満とした。

【説明と同意】すべての対象者には研究の趣旨と方法について説明し、本研究への参加の同意を得た。

【結果】CONの屈曲・伸展筋力においては、いずれの各速度でも支持なしと支持ありでPT値、%BWともに有意差を認めなかった。ECCは角速度180°/secの屈曲筋力に関して、PT値は支持なし97.57±34.07Nm、支持あり88.02±29.67Nmであり(P<0.05)、%BWは支持なし159.79±36.70%、支持あり144.35±35.67%であり(P<0.001)共に有意差を認めた。ECCのその他の各角速度ではPT値、%BW共に有意差を認めなかった。

【考察】今回の測定結果より、非運動肢支持ありでは支持なしと比較し、ECCの角速度180°/secの膝屈筋PT値と%BWで有意な低下を示した。CONにおいて、運動時の姿勢保持には非運動肢の足底支持による固定作用としての関与が小さく、CONに比較しより大きな筋出力発揮と俊敏な運動の切り替えが必要である高速域のECCでは、非運動肢の固定作用としての役割が高まったと考えられる。非運動肢を支持する事で相反性パターン運動を阻害される事や、非運動肢同名筋の活動亢進や非運動肢への注意の分割による両側性機能低下が考えられる。今回の結果より180°/secのPT値と%BWで有意に低下したことは、fast運動単位がより抑制を受けるとされている両側性機能低下が顕著に作用したと考えられる。今後は筋電図等を用いて非運動肢の筋活動を捉え、その他の筋力パラメータの変化についても併せて検討していく必要があると考えられた。

【理学療法学研究としての意義】膝関節屈曲・伸展筋力発揮に非運動肢支持が筋力発揮に影響を及ぼすのか検討し、ECCの180°/sec 屈筋以外は、CONとECCの膝屈伸筋力には影響を与えなかった。この事は今後の筋力測定や筋力増強において意義あるものと考えられた。
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© 2011 日本理学療法士協会
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