理学療法学Supplement
Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: PI2-234
会議情報

ポスター発表(一般)
腰部術後における腹部Bracing Exerciseと腹部Draw-in Exerciseの効果検証
超音波診断装置における健常者と腰部術後1ヶ月での比較試験
野田 隆基岩崎 多裕高羽 禎久柏木 かおる丸山 良子愛洲 純金田 国一
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キーワード: MED, Local Muscles, Exercise
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抄録
【目的】
近年,Local system(以下,LS)の一部である腹横筋(以下,TrA)に着目した研究が多くみられる.また,これまでTrAは腰痛患者において低下している筋であるという数多くの報告がある.当院では,腰部術後症例に対し,Local systemの再教育をプログラムとして導入しているが,その効果は不明である.また,先行研究においても慢性腰痛患者を対象とした報告は多く,手術後に関する報告は少ない.
本研究の目的は,(当院プログラムであるダーメンコルセットを)術後1ヶ月において(除去する時期),従来行なっていたHead upを用いた腹部Bracing ExerciseとTrAを意識したDraw-in Exerciseの違いが体幹前側面筋の筋厚に与える影響を検証し,術後運動療法の効果検証をすることである.
【対象】
重大な腰痛既往(腰痛による休暇や手術歴)がない男性6名(以下,健常群),年齢24~35歳(平均28.5±4.9歳)を健常群とした.また,腰椎椎間板ヘルニアの診断を受け2008年6~9月の3ヶ月間に,Micro Endscopic Discectomy(以下,MED)を施行した男性14名,年齢16~41歳(平均29.5±8.2歳)とした.Exerciseの選択については,手術施行した順を交互に腹部Draw-in Exerciseを行った者を(以下,A群),当院で従来行っていた腹部Bracing Exerciseを行った者を(以下,B群)とした.年齢に対してカイ2乗検定を行い,2群間に差がないことを確認した.また,腹部周径として,メジャーにて臍部周囲を測定し,健常者,A群,B群間において有意な差がないことを確認した.
【方法】
実施検査は,腹直筋(以下,RA),外腹斜筋(以下,EO),内腹斜筋(以下,IO),TrAを臨床検査技師のもと,超音波診断装置(ALOLA社製ProSound SSD-4000)により測定,開始肢位を背臥位および坐位,上肢位置は体幹側方とし,各筋の背臥位と座位の安静時,収縮時を静止画にて0.1mm単位で計測した.プローブの位置は,(1)臍部外側,(2)上前腸骨棘から腋窩線上と臍部水平線との交点とした.測定は,手術後4日,1ヶ月の各筋厚を調査した.健常群以外の対象には,AまたはB群のExerciseを指導し,1日10回のSelf- Exerciseを実施してもらい,1週間に1回の頻度にてリハビリにて確認した.統計学的分析は,健常者とAB群の手術前後においてStudentのT検定を用いた.また,背臥位・手術後4日のA群・B群と健常者群,背臥位・手術後1ヶ月のA群・B群と健常者群,座位・手術後4日のA群・B群と健常者群,座位・手術後1ヶ月のA群・B群と健常者群の3群間の各筋において,一元配置分散分析,Dunnettの多重比較検定を用いた.有意水準は5%未満とした.
【説明と同意】
対象者全員に本研究の主旨や目的等を充分に説明し,この研究への参加に同意した者のみを対象とした.
【結果】
手術後4日・1ヵ月におけるTrAの安静時の背臥位・座位,収縮時の座位において健常群と比較するとA・B群の両群で有意に低値を示した.TrA以外の筋に対しては,すべての条件下で有意な差を認めなかった.
また, 背臥位の収縮時においては,手術前は健常群と比較するとA・B群は有意に低値を示したが,1ヵ月後では健常群・A群・B群の3群間で差を示し,B群,A群,健常群の順に低値を示した.
【考察】
A・B群が健常者と比較して,LSを構成するTrAで低値を示したことは,慢性腰痛症患者等と健常者を比較したHodgesらの先行研究と同様であった.これは,手術に至る腰椎椎間板ヘルニアにおける坐骨神経症状がある症例においても慢性腰痛症と同様の傾向を示すことが考えられ,よりGlobal systemに依存した戦略をとっている可能性が考えられた.
また,術後1ヶ月でも健常者と比較してTrAは低値を示した.これは,術後1ヶ月までは,当院プログラムにてコルセットを装着することや,Mayerらの術後患者において脊柱起立筋に萎縮がみられるという報告より,手術における多裂筋損傷によるLSの機能低下が考えられた.
A・B群間においては,TrAの各条件下のなかで背臥位での収縮時のみがA群で高いことから,背臥位ではTrAの選択的収縮が行えたことを示唆する.今回,Exerciseはすべて背臥位で行った為,坐位ではTrAの選択的な収縮が行えず,B群でも同様のことが考えられた.また,背臥位で収縮が行なえ,坐位でできないことから,無意識下での収縮が行なえていないことが示唆された.
術後Exerciseを選択する場合,リスクを考慮し,背臥位や坐位,立位等の各姿勢でのExerciseが重要であり,選択的Exerciseが必要であると考える.今後,効果についてはより長期的な研究が必要である.
【理学療法学研究としての意義】
本研究は,(1)今回測定した,RA,EO,IO,TrAは,術後1ヶ月間のTrainingを実施しても健常群より低い,(2)座位等の各姿勢でのExerciseの必要性の2点を考慮した運動療法が必要であることを示唆した.
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© 2011 日本理学療法士協会
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