理学療法学Supplement
Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-ED-06-4
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口述演題
経験10年未満のセラピストのバーンアウトに上司の職場サポートが及ぼす効果
岩月 宏泰越後 あゆみ由留木 裕子木村 文佳安田 雅美
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抄録

【目的】職場集団は目標を達成するための組織であり,その中で各職員は上司や部下という役割が与えられている。上司の部下に対する働きかけはリーダーシップと呼ばれ,この良し悪しが職場集団の成果に大きな影響を及ぼすことが知られている。経験10年未満の理学療法士,作業療法士及び言語聴覚士(以下,セラピスト)の多くは一般職員であるため,彼らは上司から仕事の評価や職場の目標を達成させるための働きかけを受けている。今回,経験10年未満のセラピストを対象に質問紙調査を実施し,彼らのバーンアウトと直属上司の職場サポートの関連を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は質問紙調査の趣旨を了承した理学療法士,作業療法士及び言語聴覚士であり,全回答者(253名)のうち経験10年未満の者119名(男性53名,女性66名)を抽出した。質問紙調査(留め置き法)の時期は2015年6~9月であり,調査票は基本属性,職場サポート尺度(井田2004,12項目),バーンアウト尺度(久保ら1992,17項目)などで構成されていた。統計学検討はSPSS VER.16.0Jを使用し,各測定尺度間の関係についてAmos16.0Jを使用して共分散構造分析を行った。【結果と考察】上司の職場サポート尺度の情緒的・評価的・情報的・手段的サポートの下位尺度がセラピストの職場サポート因子になるかを検討するために2次の因子モデルを構成し分析した結果,χ2値=114.06,p=.18,GFI=.92,AGFI=.93,RMSEA=.01であり,4つの潜在因子(情緒的・評価的・情報的・手段的サポート)から各観測係数へのパス係数は0.62~0.83であり構成概念と観測変数が適切に対応していた。バーンアウト尺度について探索的因子分析(主因子法,Promax回転)を実施したところ,先行研究と同様に脱人格化・情緒的消耗感・個人的達成感の後退の3つの下位尺度が抽出され,3因子の累積寄与率は51.3%であった。次に上司の情緒的・評価的・情報的・手段的サポートの各サポートがバーンアウトに及ぼす因果モデルを構成し分析(推定法には最尤法を採用)した結果,χ2値=234.06,p=.09,GFI=.74,AGFI=.77,RMSEA=.05であり,RMSEAではまずまずの適合度を示したが,その他の適合度指標値は十分な値とはいえなかった。上司の情緒的・評価的・情報的・手段的サポートからバーンアウトへのパス係数は各々.35,-.76,-.48,.24であり,上司からの評価的・情報的サポートがあるとバーンアウトに陥らないことが示唆された。このことから,上司は部下の能力や仕事の成果を正当に評価すること,部下と円滑な意思疎通を図る働きかけをすることが,彼らの職務達成感の高めると考えられた。【結論】本研究の結果,上司の評価的・情報的サポートが経験10年未満のセラピストをバーンアウトに陥らせない重要な働きかけであり,職場の目標達成に欠かせないことが明らかとなった。

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© 2016 日本理学療法士協会
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