理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-KS-22-3
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下腿三頭筋スタティックストレッチング時間と性別の相違が筋硬度と重心動揺に及ぼす影響
梶原 侑馬森田 正治
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抄録

【はじめに,目的】

下腿三頭筋の筋硬度は足関節可動域に影響を及ぼすと言われている。そして足関節可動域の低下,重心動揺の増大は転倒に影響を与えるとされている。転倒による骨折や寝たきりは社会的問題にもなっており,経済的損失も非常に多い。そこで今回,実施頻度が多く簡便な下腿三頭筋静的ストレッチング(SST)が筋硬度・重心動揺・重心変位に及ぼす影響と男女差について検討した。

【方法】

整形外科疾患を有さない健常男性32名(平均年齢24.6±3.7歳,平均身長170.6±5.9 cm,平均体重63.7±7.6kg),健常女性32名(平均年齢24.5±2.7歳,平均身長157.8±4.7 cm,平均体重50.3±6.3kg)の合計64名を対象とした。

足関節起立訓練板を使用し,対象者は足関節角度23度で自重を利用しSSTを60秒及び120秒で行った。60秒と120秒の順序は無作為とし,各介入間で10分以上休息をとった。SST介入前後の測定として,下腿三頭筋の筋硬度は筋弾性計PEK-1(井元製作所)を用いた。重心動揺はグラビコーダGS-7(アニマ社)を使用し,開眼にて行い,足位は閉足直立とした。

統計解析として,SSTの介入前後変化は性別の比較を二元配置分散分析反復測定法を用い多重比較(Bonferroni法)も行った。筋硬度と重心動揺・重心変位についての相関分析はピアソンの積率相関分析を用いた。有意水準は5%とした。

【結果】

下腿三頭筋の筋硬度はSST後に有意差を認めなかった。開眼重心動揺において男性では外周面積・総軌跡長・単位面積軌跡長では有意差を認めなかったが外周面積,総軌跡長では増大傾向,単位面積軌跡長では低下傾向にあった。開眼重心動揺において女性では外周面積・総軌跡長・単位面積軌跡長では有意差を認めなかったが外周面積,総軌跡長では低下傾向,単位面積軌跡長では低下傾向にあった。男女ともにSST後の重心平均中心変位は有意に前方へ移動した。筋硬度と重心動揺・重心変位についての相関関係は認められなかった。

【結論】

本研究において60秒と120秒のSST時間による重心動揺と筋硬度の相違は認められなかった。SSTは筋硬度には影響を与えなかったが,足圧中心の前方変位を増加させた。女性においてSST効果は期待できたが,足圧中心前方移動が筋硬度の要因にまでは及ぼさなかった。女性においてSST直後はバランスを改善させ転倒予防に有効である可能性が示唆された。重心動揺で男女差を示した点について,姿勢制御上,佐竹らは男性は腓腹筋(速筋)優位,女性はヒラメ筋(遅筋)優位と報告しており,本研究で介入した下腿三頭筋SSTが腓腹筋(速筋)優位のストレッチングであったことが結果に影響したと考えられるが,本研究の評価機器のみでは男女差を明らかにすることが困難であるため,今後は下腿三頭筋を腓腹筋(速筋)とヒラメ筋(遅筋)に分け,改めて筋電図等による周波数解析等を行っていきたい。

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