理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-DM-3-14
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口述発表
2型糖尿病者における末梢神経障害が下腿筋に与える影響
宇都 良大林 尚美平賀 真雄木山 良二大重 匡
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抄録

【背景および目的】

 糖尿病末梢神経障害(DPN)は,2型糖尿病(T2DM)の生活の質を低下させる合併症の一つである。本研究の目的は,T2DMにおいてDPNが下腿筋の筋厚,筋輝度,筋力および歩行速度に与える影響を明らかにすることである。

【方法(または症例)】

 対象はT2DM患者24名(年齢69.3±10.6歳,男性16名,女性8名,糖尿病推定罹病期間5.67±5.56年,Mean±SD)であった。超音波診断装置にてヒラメ筋,腓腹筋,前脛骨筋の筋厚及び筋輝度を測定した。また,足関節の底背屈筋力および握力を測定した。その他,体組成,通常歩行速度を測定した。

 対応のないT検定またはMann-WhitneyのU検定を用い,DNP群と非DNP群を比較した。また,DPNの有無に関連する因子を,ロジスティック重回帰分析を用いて検討した。統計学的有意水準は5%とした。

【結果】

 DPN群では罹病期間が有意に長く(p=0.045),ヒラメ筋の筋厚が有意に小さかった(p=0.022)。その他の筋厚や筋輝度,筋力,体組成,歩行速度には有意な差を認めなかった。ロジスティック重回帰分析の結果では,DPNの有無に関連する因子として,ヒラメ筋の筋厚(p=0.048),足背屈筋力(p<0.050)が抽出された。

【考察および結論】

 今回の結果ではDPN群で,ヒラメ筋に特異的な萎縮を認めた。また,DPNを有するT2DM患者では,ヒラメ筋の萎縮が,体組成や歩行速度の低下に先行して生じることが示唆された。DPNを有するT2DM患者では,下腿筋の萎縮に対する評価と予防的な介入が必要と考えられた。

【倫理的配慮,説明と同意】

 本研究は霧島市立医師会医療センター倫理委員会の承認を得たものである(第2803)。対象者には事前に研究内容について説明を行い,書面にて同意を得た。

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© 2019 日本理学療法士協会
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