理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-RS-3-16
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口述発表
入院中と退院後の身体活動量は肺切除術後患者の運動耐容能回復に影響するか
柳田 頼英大曲 正樹山本 敦也千田 亜香町口 輝新村 阿矢乃有薗 信一俵 祐一神津 玲
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抄録

【背景および目的】昨今,肺癌における肺切除術後の身体活動量についての報告がみられるが,運動耐容能の指標である6分間歩行距離(以下,6MWD)との関係については報告がない.本研究では肺切除術前後の6MWD変化量に,手術後1週間と退院後の身体活動量が影響するかを検討した.

 

【方法】対象は2016年9月より2017年10月の間に,非小細胞肺癌の診断にて当院呼吸器外科で肺切除術を施行された104例.前方視的に手術前と手術後1ヶ月の6MWDを評価した.また手術翌日より手術後1ヶ月までの期間,身体活動量計を装着し歩数および活動代謝量を毎日測定した.身体活動量は手術後1週間の平均値,退院翌日から手術後1ヶ月(以下,退院後)までの平均値を採用した.手術前と手術後1ヶ月の6MWD,手術後1週間と退院後の身体活動量をそれぞれ比較した.また手術前と手術後1ヶ月の6MWDの差をΔ6MWDとして,Δ6MWDと身体活動量との相関関係を検討した.

 

【結果】脱落者10例と術後合併症発症者4例を除いた90例(67.0±9.1歳, 男性52例)が解析対象となった.対象者の6MWDは手術前567.3±109.3m,手術後1ヶ月は554.4±104.6mで差を認めず,Δ6MWDは-12.9±65.3m(中央値:-42.5,四分位範囲:-126.25-41.25)であった.手術後1週間の歩数は4070.6±1890.1歩,退院後は4528.1±2364.0歩,手術後1週間の活動代謝量は95.1±57.0kcal,退院後は104.3±104.3kcalでいずれも有意に増加した(p<0.001).Δ6MWDは手術後1週間の歩数 (p<0.05, r=0.22)と活動代謝量(p<0.05, r=0.23)との間に有意な相関関係を認めたが,退院後の歩数と活動代謝量とは相関関係を認めなかった.

 

【考察および結論】肺切除術後の運動耐容能の回復は退院後の身体活動量と関係なく,入院中の身体活動量が関係した.肺切除術患者の術後運動耐容能回復のためには,入院中急性期での身体活動量増加を目的とした理学療法介入が必要である.

 

【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,当院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:第16-08).また,全ての対象者に本研究の目的や意義,倫理的配慮について口頭および文書にて説明を行い,研究参加への同意を得た.

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© 2019 日本理学療法士協会
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