理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-RS-4-19
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口述発表
医療・介護関連肺炎患者の再入院に影響を及ぼす因子の検討
福田 浩巳西田 宗幹林 久恵
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抄録

【背景・目的】

本邦において,医療・介護関連肺炎(NHCAP)患者の再入院に影響を及ぼす因子について検討した報告は極めて少ない.本研究の目的は,再入院の要因を検討することである.

 

【方法または症例】

対象は,平成28年1月から12月にNHCAPが契機となり地域包括ケア病棟へ入棟した連続症例76名とした.

調査項目は,年齢,性別,入院時の診断・収縮期血圧・体温,入院時・退院月の血液検査・生化学検査,退院時のBMI・食事摂取経路・食事形態・食事摂取カロリー,入院時・退院時FIM score,入院から理学療法(PT)開始までの日数,再入院までの日数,社会的情報,退院後の社会資源の活用状況,退院前カンファレンスの実施,退院先への情報提供・指導の方法とした.退院日から1年以内に再入院した群を再入院群とした.

再入院の要因の検討は,従属変数を再入院の有無とし,単変量解析にて有意差を認めた因子を独立変数として,Cox比例ハザード分析(尤度比による変数減少法)を行いハザード比(HR)を算出した.統計学的解析には,SPSS ver. 24.0を用い,有意水準は5%とした.

 

【結果】

NHCAPが契機となり1年以内に再入院した者は47名(61.8%)であり,その中の66.0%は退院後3か月以内に再入院していた.再入院発生に対するHRは,血清アルブミン値が0.29[p<0.01,95%信頼区間(CI)0.12-0.70],FIM利得が0.36(p<0.01,95%CI 0.18-0.73),年齢が1.06(p<0.01,95%CI 1.01-1.10),入院からPT開始までの日数が1.03(p<0.05,95%CI 1.00-1.07)であった.

 

【考察および結論】

入院から早期に理学療法を行い機能的自立度の向上を図り,適切な栄養管理を行うことが再入院減少の一助となり得ることが示唆された.

 

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究は,秋津鴻池病院倫理審査委員会の承諾を得て実施した.診療情報は,対象者の包括的同意が得られている事項のみを調査対象とした.なお,後方視的調査を進めるにあたり,個人の情報が特定されないよう得られたデータの管理は連結可能匿名化し,匿名化データはセキュリティー対策を行ったコンピュータ上でのパスワードを設定して管理を行い,個人情報が漏洩しないように配慮した.

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© 2019 日本理学療法士協会
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