理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-RS-5-30
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口述発表
地域高齢者における呼吸筋力の評価としての最大呼気流速
-呼吸筋サルコペニアの操作的定義についての検討-
解良 武士河合 恒平野 浩彦小島 基永渡邊 裕藤原 佳典井原 一成大渕 修一
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抄録

【背景および目的】四肢の骨格筋と同様に呼吸筋も加齢による影響を受けるため、高齢期では呼吸筋力が弱化する。このような弱化は呼吸筋サルコペニアと呼ばれるが、その明確な定義については未だ検討されていない。本研究は呼吸筋力の指標としてスパイロメトリーで得られる最大呼気流速(PEFR)を用い、呼吸筋サルコペニアの定義のためのカットオフ値を検討した。

 

【方法】本研究所のコホート研究に参加した地域高齢者471 名を対象とした。サルコペニアはEWGSOPのコンセンサスの方法に日本人の基準を適応して抽出した。呼吸筋サルコペニアはPEFRの下位のものと定義した。PEFRはサルコペニアと関連があることからサルコペニアの有無に対するROC曲線によるカットオフ値を求め、この値以下のPEFRであったものの四分位下位1位・五分位下位2位における分布を観察した。性差を検討するために、PEFRを従属変数、性、その他の共変量の候補を独立変数としたステップワイズによる重回帰分析を行った。

 

【結果】ROC曲線の解析によりサルコペニアに対するPEFRの判別能は有意であった。重回帰分析の結果、PEFRの性差は約1.0L/secと見積もられたため、ROC曲線の解析と合わせてPEFRの呼吸筋サルコペニアに対するカットオフ値を暫定的に男性5.5L/sec、女性4.5L/secとした。このカットオフ値で定義した呼吸筋サルコペニアは、PEFRの四分位の下位1位に男性:100.0%、女性:60.8%が、五分位の下位2位に男性:88.0%、女性:49.6%が分布した。

 

【考察および結論】先行研究によれば、排痰能力を判別する咳嗽時最大呼気流速(CPF)は4.0L/secである。しかしPEFR値はCPF値に比べて元々低値であることを考慮すると、今回暫定的に決めた呼吸筋サルコペニアのカットオフ値はそれに比べて明らかに高い。女性では弁別が悪いことも加えると、PEFRだけではなく他の関連する要因も含めた基準を検討する必要がある。

 

【倫理的配慮,説明と同意】本研究は本研究所の倫理委員会を経て実施され、すべての対象者からは書面によるインフォームドコンセントを得た。

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© 2019 日本理学療法士協会
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