理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-RS-1-14
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ポスター発表
慢性呼吸器疾患の筋力改善に関わる因子の検討
松崎 文香齊藤 哲也
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抄録

【背景・目的】

 慢性呼吸器疾患患者には,全身併存症の1つとして骨格筋の筋力低下や易疲労性,筋萎縮を認める.これらは運動耐容能や身体活動性の低下をもたらし,生命予後にも関係することが報告されている.今回,長期経過を評価できた慢性呼吸器疾患患者において,筋力改善に関わる因子を明らかにすることを目的として検討を行った.

 

【方法または症例】

 慢性閉塞性肺疾患または間質性肺炎と診断され,昭和大学藤が丘リハビリテーション病院で外来呼吸リハを行った13例を対象とした.3ヵ月毎に体重支持指数(Weight Bearing Index:WBI)を評価し,リハ介入前の二重エネルギーX線吸収測定法(以下,DEXA)による体組成検査,血液検査,心機能検査,呼吸機能検査から筋力改善に関わる因子を検討した.

 

【結果】

 リハ介入前と介入後3ヵ月のWBI(kgf/kg)に有意差が認められた[平均値(SD):介入前53.15(22.72)vs 3ヵ月63.31(32.18)].また,WBI改善群と非改善群の2群間比較では,リハ介入前の血清たんぱく質(g/dl)が低値だった症例に筋力の改善を認めた[平均値(SD):改善群6.56(0.55)vs 非改善群7.21(0.33)].

 

【考察および結論】

 WBI改善群では,リハ介入前の時点で低栄養である症例が多かった.呼吸リハビリテーションに関するステートメントでは,栄養障害は呼吸筋力,運動耐容能,QOLなどとも密接に関連しているとされている.また,栄養関連学会のガイドラインでは,栄養療法単独での効果は限定的であり,運動療法との併用を奨励している.慢性呼吸器疾患患者の筋力改善においては,栄養指導を含めた包括的介入が必要であることを再確認できた.

 

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究は昭和大学藤が丘リハビリテーション病院の臨床試験審査委員会にて承認を得た.診療録から研究対象者の資料・情報を取得する際,オプトアウト等により研究対象者等に資料・情報の利用目的を含む当該研究についての情報を,研究内容説明書にて通知・公開し,研究対象者の資料・情報が利用されることを研究対象者等が拒否できる機会を保障した.研究対象者からの使用の中止の申し出があった場合には,当該情報は使用しない.

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© 2019 日本理学療法士協会
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