理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-RS-1-15
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ポスター発表
慢性期病院における肺炎発症に関わる因子の検討と今後の課題
梅原 靖孝古村 恭奨平間 礼菜川村 茜板垣 昌史佐々木 真衣川尻 隆晴河野 伸吾山本 祐司
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キーワード: 慢性期, 肺炎, 予後
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抄録

【背景および目的】

当院は慢性期病院で、様々な疾患の患者が入院されている。このような方を対象とした肺炎発症に関わる因子の報告は少ない。今回、当院における肺炎発症因子を抽出し、今後の取り組みを考察する。

 

【方法】

2016年1月~2016年12月の期間に、入院中および入院された患者とし、診療記録から肺炎の記載がある患者40名を肺炎あり群、肺炎記載がない患者のうち乱数表を用いて選ばれた患者40名を肺炎なし群として、2群に分類した。

①調査項目は年齢、性別、BMI、FIM、栄養状態、呼吸器疾患・循環器疾患既往の有無、気切の有無、離床の有無、嚥下障害の有無、呼吸訓練の有無、食事摂取方法、サクション回数、酸素吸入量、リハビリ回数としχ2検定、Mann-WhitneyのU検定を用い2群間の差をみた。

②①で有意差がみられた項目をロジスティック回帰分析し、肺炎発症の関連因子を抽出した。

③②で採択された項目のうち量的変数をROC解析しカットオフ値を算出した。

 

【結果】

①年齢、性別、BMI、栄養状態、呼吸器疾患・循環器疾患既往の有無、嚥下障害の有無、離床の有無、サクション回数に有意差がみられた。

②肺炎発症の関連因子として年齢、性別、BMI、呼吸器疾患・循環器疾患既往の有無、離床の有無、サクション回数が抽出された。

③年齢70歳以上、サクション回数1回/日以上、BMIは17.02 kg/m2以下となった。

 

【考察および結論】

 結果より、年齢は加齢に伴う免疫力低下、BMIは低栄養、離床の有無は筋力低下に伴う喀痰・咳嗽力低下、呼吸器疾患・循環器疾患既往の有無は感染性増加や心肺への負荷量増加、サクション回数は咳反射減弱などが肺炎の要因となり、今回、肺炎発症の関連因子として抽出されたと考える。性別はエストロゲンの違いと考えるが更なる検討が必要である。

今後は得られたデータの院内周知や評価表作成、実際の生活場面で我々が病棟ラウンドを実施するなど肺炎予防を意識した対応をしていきたいと考える。

 

【倫理的配慮,説明と同意】

倫理的配慮、説明と同意は、当院の研究倫理に則り、当院教育学術委員会に研究内容を提出し、個人情報の配慮等を審査後、研究を実施した。

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© 2019 日本理学療法士協会
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