理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-S-1-1
会議情報

ポスター
頚椎症性脊髄症患者の歩行特性分析
-起立動作を含む歩行開始時及び定常歩行時における不安定性の乖離に着目して-
梶川 健佑田口 潤智岡田 順堤 万佐子中谷 知生水田 直道
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに・目的】

頚椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy:CSM)は痙性もしくは失調性の歩行障害を呈し、脊柱管拡大術後も歩行障害が残存することがある。当病院に入院された脊柱管拡大術後のCSM患者においても歩行障害が残存し転倒傾向を示す症例に出会うことがある。臨床の経験上、CSM患者は特に起立動作後の歩行開始時にふらつきを呈することが多く、患者自身もふらつきやすいと感じられることが多い。しかし、CSM患者の歩行特性は明らかになっておらず、介入すべき歩行場面が不明確となっており、慣習的に課題指向的に歩行練習を行っている現状がある。本研究の目的はCSM患者の歩行特性を検証し、起立動作を含む歩行開始時及び定常歩行時における不安定性の差異を検証することである。

【方法】

当院にリハビリテーション目的で入院した介助なく歩行可能なCSM患者3名(男性2名、年齢79.0±9.8歳) および対照群として若年健常者3名(男性2名、年齢26.0±1.5歳)を対象とした。歩行条件は①起立動作を含む歩行開始時(起立動作後すぐに歩行する)、②静止立位からの歩行開始時、③定常歩行時(10m歩行予備路を設けそれより計測)の3条件とした。測定は独歩で行い、Gait Judge Systemの3軸加速度センサー(サンプリング周波数:1000Hz)を第3腰椎背側レベル、右足部の外果上に貼り付け歩行周期の同定を行った。主要評価項目はStride Time Variability(STV)とし、5歩行周期分を解析対象とした。STVとは各歩行周期に要した時間のばらつきの客観的指標であり、高値であるほど転倒リスクが高いと言われている。なお、歩行評価は各条件3回ずつ計測し、全ての解析にMATLAB(R2018a)を用い、条件間のSTV平均値を比較した。

【結果】

健常者のSTV(%)は①4.17②5.31③1.13であった。CSM患者は①7.68②5.71③2.19であった。患者別でみると症例Aは①8.17②5.04③1.67、症例Bは①7.73②5.49③2.76、症例Cは①7.14②6.62③2.14であった。CSM患者は健常者に比べ特に①、③で高い値を示し、①が最も大きな値を示していた。

【考察】

CSM患者のSTVは起立動作を含む歩行開始時のSTVが最も高い傾向を示し、定常歩行のSTVとは乖離していた。これは脊髄性運動失調の影響が強い起立動作時にふらつきが増強し、歩行開始時のSTVに影響したと考える。また、CSM患者は①条件に比べ②条件は低値であり、日常生活場面において起立動作後すぐに歩行するのではなく、一度立位を取ってから歩行すると不安定性は軽減する可能性が示唆された。今後は様々な疾患で同様の評価を行い、今回の結果が頚椎症性脊髄症の特異的な結果であったのかを検証していく。

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究は当院の倫理委員会の承認を得て実施された。またヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に配慮し、対象者に口頭で説明し同意を得た。

著者関連情報
© 2019 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top