理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O1-4
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一般演題
母趾球荷重による筋活動の変化が選択反応時間に及ぼす影響
小林 怜司
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抄録

【はじめに,目的】

 様々なスポーツ競技では,多方向への素早い反応が必要である。その評価指標に選択反応時間(以下,反応時間)がある。反応時間を短縮するためには構え姿勢をとる必要がある。また,構え姿勢の指導方法で母趾球荷重を意識させることがあるが,母趾球荷重が反応時間に及ぼす影響は不明である。本研究は母趾球荷重が反応時間に及ぼす影響を筋活動の観点から明らかにすることを目的とした。

【方法】

 対象は健常成人男性12名とした。本研究は光刺激後,左右にサイドステップで移動するまでの時間を測定した。測定課題は直立姿勢,通常の構え姿勢(以下:通常姿勢),母趾球荷重を行った構え姿勢(以下:荷重姿勢)とした。表面筋電計を使用して内側広筋,腓腹筋,長腓骨筋の光刺激提示前の事前筋活動,動作中の筋活動を測定した。

【倫理的配慮】

 本研究は広島大学疫学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。(承認番号:E-1076)。

【結果】

 通常姿勢に比べ,荷重姿勢の反応時間は5.6%短縮した(p<0.05)。また,通常姿勢に比べ,荷重姿勢の事前筋活動量は内側広筋で8.0%,長腓骨筋で16.0%増加し,動作中の筋活動量は内側広筋で6.6%,長腓骨筋で9.7%増加した(p<0.05)。

【考察】

 事前筋活動の増加は動作中の筋活動増加につながる(江島,2011)。母趾球荷重により内側広筋と長腓骨筋の事前筋活動が増加し,動作中の筋活動が増加することで,反応時間が短縮することが示唆された。

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© 2019 日本理学療法士協会
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