理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-016
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ポスター発表
身体障害を伴ったセルフネグレクト者への多職種連携による対応
鈴木 麻里子石原 清森井 聡近藤 治代河合 顕宏因泥 智子
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抄録

【はじめに・目的】平成28年度に新設された当所は、あらゆる年代や障害を対象として多数の専門職による支援を実施している。本報告では身体障害を伴いセルフネグレクトに陥った対象者に対して、多職種が連携して総合的な支援を行い、生活環境の改善とご本人の気持ちの変化へとつながった症例について報告する。

【方法】対象者は50代男性、脳性麻痺よる四肢痙性麻痺(身障手帳1種2級)。屋内は杖でなんとか移動し、屋外は車椅子で介助。意思疎通は良好。支援開始から2年間の経過をまとめ考察を行った。

【結果】長男の転出後に独居となり次第に大量のごみをためる等、生活環境が悪化した状況を生活保護ケースワーカーが把握、障害者支援担当から当所の社会福祉職に相談が入り、複数の機関が連携して生活改善に向けた支援を開始。連携して不衛生な環境改善のため、ごみや不用品の廃棄を行った。当所の支援においては作業療法士により身体機能上必要な家屋改修の実施と共に介護ベッドを導入。医師・理学療法士・看護師・社会福祉職による巡回判定により補装具(車椅子)を作製。また全身に疼痛を伴う薬疹が出現し、看護師による訪問指導及び腰痛の訴えについては理学療法士による評価・指導を実施。その後、定期的なリハの必要性から社会福祉職が受診に同行し、翌月より理学療法士による訪問リハが開始となった。

【結論】身体障害をもつ方への支援は福祉的側面と医療的側面が必要かつ不可分である。今回多職種が関わり制度利用や家屋改修等の福祉的支援と補装具作製等の医療的支援を行った結果、身体障害を伴うセルフネグレクト者への対応が十分に行えた。結果、支援者の提案に対し控えめで拒否的な本人から、自発的な訴えが出るという気持ちの変化が徐々に見られた。2年間の継続的支援及び多職種連携(福祉的・医療的支援)により、ご本人の気持ちの変化につながった。

【倫理的配慮,説明と同意】発表を行うにあたりご本人に十分な説明の上、本発表以外では使用しないこと、それにより不利益を被ることはないことを説明し、回答をもって同意を得たこととした。

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