理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1-P-C-2-6
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ポスター演題
当センターでの産後2週間検診における理学療法士の取り組みと今後の課題の検討
脇田 媛加瓦井 義広﨑田 博之陽川 沙季宮川 祐三子椿野 幸美和田 聡子田村 太資
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抄録

【はじめに、目的】

妊娠期から産後にかけて母親は身体的・精神的変化が大きく、母親の健康に対する支援の必要性が高く訴えられており、厚生労働省も産後ケア事業を推進している。近年、理学療法士が産後のマイナートラブルに対して介入する報告が増えてきており、理学療法士が産後の母親の健康に寄与できることが示唆され始めている。当センターでは以前より助産師・看護師が産後2週間の母親を対象とし、母親支援のために産後2週間検診(以下検診)を実施している。今回我々は、助産師・看護師と協働し、理学療法士の専門性を活かして検診に参加することにより、産後のマイナートラブルの予防や改善、身体的な問題点が解決でき、育児負担の軽減や将来的な病気(骨盤臓器脱など)の予防など母親の健康増進に寄与できるのではないかと考えた。本研究の目的は、検診における理学療法士の取り組みと今後の課題を検討することである。

【方法】

対象は産後2週間の母親と新生児である。1回6人の集団で介入しており、2時間で実施した。理学療法士は、妊娠・出産に伴う姿勢の変化、出産後に罹患率の高い「肩こり」や「腰痛」、産後機能障害をきたしやすい「骨盤底筋群」に関してテーマを設け、実技も交えながら講義を行った。助産師・看護師は授乳や育児相談を母親たちの悩みを共有しながら行った。検診終了時にアンケートを実施、内容は講義のわかりやすさ、満足度、自身の身体をケアするきっかけとなったか、その他自由記載とした。

【結果】

アンケートでは検診の内容に関して高い満足度を得た。講義内容もわかりやすく、99%の母親が自身の身体のケアをするきっかけになったと回答した。実技を行うことで肩こりが改善されたなどの回答も得られおり、身体的不調を改善させることができた。自由記載では、産後1か月健診で再度理学療法士の介入を望む回答があった。また、母親同士の交流ができ悩みが解決できた、気分転換になったという回答も多くみられた。

【結論(考察も含む)】

結果より、理学療法士が産後2週間という早い時期から介入することにより、母親が自身の身体のケアの重要性について理解でき、様々な身体的不調の予防・改善に寄与できると考えられる。また、理学療法士が検診に参加し身体面でのサポートを行い、身体的な問題が改善されることで、従来よりも母親の精神面においてもより充実したサポートが可能になることが示唆された。一方で現在は産後2週間検診のみの介入となっており、指導したケアが自宅で実践できたかなど継続的な介入や評価はできていない。今後の課題として、母親の健康増進のために検診以外に継続的に必要な時期に必要なサポートができる体制を整えていく必要があると考えられる。

【倫理的配慮,説明と同意】

アンケートは母親に口頭で説明し、同意を得て個人情報に配慮し実施している。

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© 2019 日本理学療法士協会
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