理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
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教育講演
筋内脂肪:医用画像による評価と加齢や不活動の影響
秋間 広
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p. I-13-2

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抄録

 骨格筋内に霜降り状に蓄積する脂肪(以下,筋内脂肪)は,内臓脂肪と類似した性質を持つことが分かっている。近年,磁気共鳴映像法(MRI)や超音波断層装置(US)を用いて,筋内脂肪を評価する研究が増えつつある。筋内脂肪はインスリン抵抗性と関連することから(Goodpaster et al. 2003),少ない方が望ましいと考えられるが,その分布状況の詳細については不明であった。MRIとUSで求めた外側広筋と大腿二頭筋の筋内脂肪とプロトン磁気共鳴分光法(1H-MRS)から求めた筋細胞内・外脂肪との関係について検討した。その結果,両筋ともにMRIおよびUSから求めた筋内脂肪は,1H-MRSから求めた筋細胞外脂肪との間に有意な相関関係が認められ,医用画像で観察している脂肪は主に筋細胞外にある脂肪を反映している可能性が示された(Akima et al. 2016)。このことは筋内脂肪の代謝を考える上で重要な情報となるものと考えている。加齢や不活動によって筋内脂肪は増加する。MRIやUSによる筋内脂肪の指標は,測定した部位の筋断面積や筋厚と有意な負の相関関係が認められることを報告してきた(Akima et al. 2015, 2017)。この結果が得られた仮説として,加齢や不活動によって筋線維の萎縮が生じ,筋線維間に生じた空間に脂肪が蓄積していくというものである。その可能性を調べるため,約4週間のギブス固定と免荷を強いられた18名の患者を用いて,ギブス固定中の一日あたりの筋組織断面積と筋内脂肪断面積の変化率について調べた。その結果,両者には有意な負の相関関係(rs=‒0.86)が認められ(Yoshiko et al. 2018),先の仮説を支持する結果が得られた。講演では,その他に高齢者等に関する情報を提供する予定である。

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© 2019 日本理学療法士協会
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