日本口蓋裂学会雑誌
Online ISSN : 2186-5701
Print ISSN : 0386-5185
臨床
口唇口蓋裂患者における歯科矯正治療に関するアンケート調査
―動的治療を終了した患者を対象に―
須佐美 隆史長濱 浩平大久保 和美高橋 直子松崎 雅子森 良之高戸 毅
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2010 年 35 巻 1 号 p. 41-55

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抄録

多施設共同研究を行うことを前提に口唇口蓋裂患者に対する歯科矯正治療に関するアンケート調査用紙を作成し,東京大学医学部附属病院において動的歯科矯正治療を終了した片側性口唇口蓋裂患者 36名を対象に調査した結果,以下の結果を得た。回答者数は25名で,回収率69.4%であった。
1)歯科矯正治療を考えたきっかけは,外科・言語の先生の勧めが多かった。
2)治療を考えた理由は,歯ならびが多かったが,しゃべりにくいことを挙げた人も多かった。最も治療に期待したことでは,見た目の歯ならび,顔つきといった美的効果を挙げた人が多かった。
3)治療中には,多くの人が痛み,食べにくさ,しゃべりにくさ,歯みがきの大変さを感じていた。
4)治療後には,回答した全員が前歯の歯ならびが良くなったと答え,約2/3が顔つきが良くなったと答えた。また8割以上が良く咬めるようになったとし,約8割がしゃべりやすくなったと答えた。
5)回答者全員が治療を受けて良かったと答えた。
6)7割以上が通院の負担が大きいと答えた。
7)顎裂部骨移植,顎矯正手術,矯正装置など,治療内容に関する回答は正確さを欠くことが考えられた。
以上のことより,回答したすべての患者は治療結果に満足しているようであった。また,歯科矯正治療は言語機能にも好影響を与えると思われた。しかし,口腔衛生管理,治療の効率化については改善の余地があると考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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