日本口蓋裂学会雑誌
Online ISSN : 2186-5701
Print ISSN : 0386-5185
ISSN-L : 0386-5185
原著
Furlow変法による口蓋形成術後の言語成績
―粘膜移植粘膜弁法群との比較―
岡部 早苗鈴木 恵子上野 寛子杉本 孝之山崎 安晴石渡 靖夫牧 敦子大原 卓哉瀬崎 晃一郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 42 巻 3 号 p. 194-200

詳細
抄録

Furlow法は1986年に発表され,顎発育と言語成績の両方を満足する可能性のある術式として注目された。我々は原法に改良と工夫を加えた術式をFurlow変法とし,ほぼ全例に行っている。本稿では,Furlow変法による口蓋形成術後の52例の言語成績について報告する。【対象】1996~2011年にFurlow変法で初回口蓋形成術を受けた52例(男25例,女27例)。手術月齢は平均12.4ヶ月(SD3.3ヶ月),裂型の内訳は両側口唇口蓋裂11例,片側口唇口蓋裂15例,硬軟口蓋裂19例(うち5例は不全唇裂を伴う),軟口蓋裂7例。最終評価時期は,系統的な構音訓練を受けずに良好な構音を習得できた症例は会話レベルで正常構音が安定した時期,訓練を要した症例では訓練開始時とし,平均5歳4ヶ月(SD16.5ヶ月)であった。すでに報告を行った粘膜移植粘膜弁法群48例を対照群とした。【方法】診療録より瘻孔の有無,鼻咽腔閉鎖機能,言語症状について後向き研究を行った。【結果】1)瘻孔を52例中3例(5.8%)に認めた。2)鼻咽腔閉鎖機能は良好例が52例中49例(94.3%)であった。3)構音障害を52例中20例(38.4%)に認め,構音訓練を要した。内訳は,置換12例(23%),口蓋化構音7例(13.4%),側音化構音2例(3.8%),声門破裂音2例(3.8%),鼻咽腔構音1例(1.9%)。4)粘膜移植粘膜弁法群との比較では,口唇口蓋裂例と口蓋裂単独例に分けて言語症状の分析を行い,瘻孔の有無,鼻咽腔閉鎖機能良好例の割合,構音障害の発現率の比較のいずれにおいても両群間に有意差を認めなかった。【考察】Furlow変法術後の言語成績は粘膜移植粘膜弁法術後の言語成績と有意差を認めなかった。側音化構音の発現率が3.8%であり,粘膜移植粘膜弁法術後の2.1%と同様に低率であるという特徴を認め,顎発育と言語成績の詳細な検討が今後の課題である。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本口蓋裂学会
前の記事 次の記事
feedback
Top