日本口蓋裂学会雑誌
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奈良県立医科大学口腔外科における20年間の口唇裂口蓋裂患者の臨床統計的検討
藤本 昌紀山本 一彦川上 正良梶原 淳久森崎 歩村上 和宏舘林 茂桐田 忠昭
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2003 年 28 巻 3 号 p. 238-249

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抄録

奈良県立医科大学口腔外科開設後20年間に当科を受診した口唇裂口蓋裂患者332例について臨床統計的検討を行い,以下の結果を得た。1.症例は男性181例,女性151例で,男女比は1.2:1であった。2.裂型別分類では,唇裂66例(19.9%),唇顎裂が34例(10.2%)唇顎口蓋裂が127例(38.3%),口蓋裂69例(20.8%),粘膜下口蓋裂26例(7.8%),口蓋垂裂13例(唇裂および唇顎裂4例を含む)であった。3.破裂部の側性では,唇裂,唇顎裂,唇顎口蓋裂,歯槽裂患者228例のうち,片側性が178例(78.1%),両側性が49例(21.5%),正中が1例(0.4%)であった。片側性の左右比では,左側が111例(62.4%),右側が67例(37.6%)で,左右比は1.7:1であった。4.家系内の発現についての検索がなされていたのは281例であり,このうち18例(6.4%)に家系内発現があった。5.他部位合併先天性形態異常は41例(12.3%)にみられ,部位別では心臓が最も多く14例(4.2%)にみられた。6.手術は215例に施行した。このうち一次症例では227例中171例(75.3%),二次症例では105例中44例(41.9%)であった。術式は口唇形成術が127例,口蓋形成術が101例,顎裂部二次的骨移植術が26例,外鼻形成術が22例であった。

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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