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臨床神経学
Vol. 48 (2008) No. 11 P 1010-1012

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http://doi.org/10.5692/clinicalneurol.48.1010

シンポジウム10:ミトコンドリア病治療の現況と将来

MELASは,小児期に始まる脳卒中様発作を特徴とするミトコンドリア脳筋症の三大病型の一つである.日本のコホート研究で,MELASは初発年齢18歳未満で発症する小児型とそれ以後で発症する成人型の2病型が存在し,両者で病気の重症度が大きくことなることが判明した.小児型および成人型MELASでは,平均発症年齢9.0歳と32.2歳,診断時年齢11歳と33.6歳,平均死亡年齢15.0歳と40歳であり,小児型で有意に重症であった.Kaplan-Meiyerの生存曲線では,50%死亡は小児型で24.5年,成人型では症例が少なく算出できなかったが,小児型は成人型にくらべ3.219倍早く死亡する事がわかった.いままで特効薬的治療法は無く対症療法が主体であったMELASに対し,血管内皮機能を改善する目的で,L-アルギニン療法が開発された.脳卒中様発作急性期にL-アルギニンを静脈し,脳卒中様発作に起因する種々の症状が劇的に改善した.また,発作寛解期にL-アルギニンを内服する事で,脳卒中様発作の重症度を軽減し発作頻度を減少させることがわかった.MELASでは,血管内皮機能が障害されており,進行例では,脳血管障害から重度の認知症をきたす事が知られている.L-アルギニン療法は,血管内皮機能を正常化し,脳内血流の不均衡分布を改善することで,MELASの脳卒中様発作急性期治療のみでなく,発作予防薬としても有効な治療法と期待されており,日本医師会医師主導治験として開発中である.

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