抄録
症例は46歳の女性である.約1カ月の経過で両下肢に筋硬直,有痛性筋痙攣が出現し,尖足位となった.抗GAD抗体は陰性で,抗amphiphysin抗体61,440倍と高値であり,傍腫瘍性症候群によるstiff-person症候群と診断した.悪性腫瘍の検索のためマンモグラフィーなどを施行したが,腫瘍病変はみとめられなかった.FDG-PETにて左腋窩部リンパ節に集積がみとめられ,同部のリンパ節郭清術を施行し,病理検査により乳癌と診断された.ステロイド治療により筋硬直,有痛性筋痙攣は消失した.抗amphiphysin抗体陽性stiff-person症候群では悪性腫瘍の早期検出にFDG-PETが有用と考えられた.