症例は36歳男性.小脳性運動失調のみが亜急性に進行し,頭部MRIで小脳虫部と半球の萎縮をみとめた.末梢血HIV-RNA量増加,CD4+細胞著減をみとめ,CD4/CD8比は0.04であった.髄液検査では単核球優位の細胞数増加と蛋白の軽度上昇をみとめ,PCRでEBV,HBV,JCVが陽性であった.HIV感染症に対してHAARTを開始したところ,HIVウイルス量の減少にともなって失調の進行が停止した.その後20カ月の経過中,高次脳機能障害をふくめた新たな神経症状の出現や,AIDSの発症はみとめず,復職が可能となった.亜急性小脳性運動失調症とHIV感染症との関連について,考察を加え報告した.