臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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症例報告
HIV感染症に関連した小脳性運動失調症の1例
中村 聖香和手 麗香新出 明代朝山 真哉中野 智日下 博文
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キーワード: HIV, AIDS, ADC, HIV脳症, 小脳性運動失調
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2009 年 49 巻 10 号 p. 651-655

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抄録

症例は36歳男性.小脳性運動失調のみが亜急性に進行し,頭部MRIで小脳虫部と半球の萎縮をみとめた.末梢血HIV-RNA量増加,CD4+細胞著減をみとめ,CD4/CD8比は0.04であった.髄液検査では単核球優位の細胞数増加と蛋白の軽度上昇をみとめ,PCRでEBV,HBV,JCVが陽性であった.HIV感染症に対してHAARTを開始したところ,HIVウイルス量の減少にともなって失調の進行が停止した.その後20カ月の経過中,高次脳機能障害をふくめた新たな神経症状の出現や,AIDSの発症はみとめず,復職が可能となった.亜急性小脳性運動失調症とHIV感染症との関連について,考察を加え報告した.

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© 2009 日本神経学会
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