2009 年 49 巻 8 号 p. 497-500
症例は59歳男性である.四肢の異常感覚,神経根痛と深部感覚低下が3カ月で進行し,独歩不能となった.感覚神経誘発電位は低下・消失し,亜急性感覚性ニューロノパチー(SSN)と考えた.悪性腫瘍検索にて,気管支入口部および気管分岐部リンパ節生検より肺扁平上皮癌と診断した.抗神経抗体は陰性であったが,化学療法と放射線療法施行後に神経根痛の消失・深部感覚の改善をみとめたため,傍腫瘍性SSNと考えた.傍腫瘍性SSNは肺小細胞癌に合併することが多く肺扁平上皮癌に合併することはまれであり,原発腫瘍の早期発見と治療がSSNの症状改善に寄与することが示された重要な症例と考え報告する.