臨床神経学
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症例報告
妊娠中に発症し,抗NMDA受容体抗体が陽性であった非ヘルペス性辺縁系脳炎の1例
伊藤 康男阿部 達哉富岳 亮小森 哲夫荒木 信夫
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2010 年 50 巻 2 号 p. 103-107

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抄録

症例は19歳女性である.急性の異常行動と変動する意識障害で発症した.入院時妊娠17週で児の発育に問題はなかった.髄液検査で単核球優位の細胞数増多,抗NMDA受容体抗体陽性,頭部MRIで明らかな異常所見なく,非ヘルペス性辺縁系脳炎が考えられた.妊娠26週目より意識障害は徐々に改善し,妊娠37週で自然分娩した.骨盤MRIで卵巣奇形腫をみとめず,分娩後の抗NMDA受容体抗体が陰性化したことより,本症例の発症に妊娠との関連が示唆された.妊娠中に発症した抗NMDA受容体抗体陽性の非ヘルペス性辺縁系脳炎の報告例はまだなく,貴重な症例と考えたので報告する.

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© 2010 日本神経学会
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