2011 年 51 巻 11 号 p. 1162-1164
筋萎縮性側索硬化症amyotrophic lateral sclerosis;ALS)は他の神経変性疾患同様,病態関連タンパクの構造異常に基づくコンフォメーション病であり,多彩な病態の分子基盤と考えられている.われわれは家族性ALSの主な原因タンパク質である変異SOD1に対する特異認識抗体の作製に成功した.それらの一部は脳室内,髄腔内の持続注入療法によって進行抑制効果をみとめている.しかし変異SOD1特異認識抗体もクローンによって無効なものもあり,作用機序は複雑である.今後は分子内の病原構造の同定と抗体の可変領域の一本鎖抗体などをもちいた改変抗体によって,細胞内タンパク質をふくむ治療応用の拡大が期待される.