2011 年 51 巻 2 号 p. 130-134
症例は73歳の女性である.約半年の経過で歩行障害が進行し,起立・歩行不能となった.トーヌスが正常な下肢優位の不全麻痺,四肢腱反射の亢進,Babinsiki徴候陽性,四肢の異常感覚などをみとめた.MRI上ほぼ全長にわたる脊髄病変,胸部CTでびまん性粒状影,血清および髄液HTLV-1抗体価高値,髄液プロウイルス量・neopterin高値,肺生検で細気管支周囲のリンパ球浸潤などの所見よりHAMおよびHABAと診断した.ステロイドパルス療法により短期間で症状の改善がみとめられた.数カ月以内で症状が進行する脊髄病変では急速進行性HAMを鑑別する必要があり,その際HAMに高率に合併する肺病変の検索が有用である.