2012 年 52 巻 3 号 p. 178-181
症例は47歳男性である.脳梗塞の既往がありアスピリン内服中であった.突発性に左の首,肩,上腕,上部体幹のジンジン感を自覚した.神経学的には同部位の表在覚の低下以外に所見をみとめなかった.頭部MRIにて高位の右中心後回に限局性の小梗塞巣が,経食道心臓超音波検査にて卵円孔開存,右左シャント血流がみとめられ,奇異性脳塞栓症がうたがわれた.症状は1週間にて消失し,ワルファリン投与にて退院した.本例のように一側の頸部,上腕,上胸背部に限局し,手や前腕など末端部を侵さないケープ様分布の感覚障害では中心後回高位円蓋部の病変が考えられる.