臨床神経学
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症例報告
セフェピム塩酸塩投与により周期性あるいは律動性脳波所見を呈した2症例
代田 悠一郎大友 亮花島 律子寺尾 安生堤 涼介辻 省次
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2012 年 52 巻 5 号 p. 356-359

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抄録

セフェピム塩酸塩(CFPM)投与後に意識障害・不随意運動・脳波異常を呈した腎不全症例2例を経験した.脳波検査において,症例1では3Hz程度,症例2では1~2Hz程度の全般性周期性放電ないし全般性律動性デルタ活動をみとめるものの簡単な従命が可能であり,臨床所見と脳波所見の解離がうたがわれた.CFPM中止により症状・脳波所見ともすみやかに改善し,明らかな後遺症も残さなかった.薬剤性の脳症では時に原因薬剤の同定や他の代謝性脳症との鑑別が困難であるが,CFPM投与により生じる意識障害においては脳波所見が原因薬剤の同定に有用である可能性が示唆された.

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© 2012 日本神経学会
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