2012 年 52 巻 6 号 p. 411-415
症例は両側顔面筋麻痺,四肢感覚障害と筋力低下で発症し体幹の感覚障害,膀胱直腸障害が加わり緩徐進行性に増悪した66歳女性である.免疫グロブリン療法は無効,副腎皮質ステロイド薬で症状進行は停止したが診断に苦慮した.髄液インターフェロンγ増加から感染症にともなうポリニューロパチー・脊髄炎をうたがい,B. gariniiとB. afzeliiに対する血清ボレリア抗体IgG,IgM陽性から神経ボレリア症と診断.抗菌薬と副腎皮質ステロイド薬併用で症状は徐々に改善.サイトカイン・ケモカインの増加のみられたばあいには神経ボレリア症も考慮する必要があること,本症に抗菌薬と副腎皮質ステロイド薬併用が有効なばあいがあることが示唆された.