2013 年 53 巻 1 号 p. 1-8
神経変性疾患では異常凝集タンパク質の蓄積がその発症原因と密接にかかわっている.凝集タンパク質は封入体を形成するが,封入体自体には細胞毒性がないとする知見が多くえられている.事実,実験系ではアグリソームといわれる凝集蛋白による封入体が微小管をもちいたモータータンパク質による輸送システムによって形成され,細胞がその処理のために積極的に凝集蛋白を収集していることが想像された.筆者はこれがオートファジー・ライソゾーム系による凝集体分解の促進と密接にかかわっていることを発見した.本来非特異的な細胞質分解系であるオートファジーが凝集タンパク質に対しては「特異的」な認識システムを有して分解をおこなっている.