2013 年 53 巻 11 号 p. 989-991
心原性脳塞栓症は,脳梗塞の中の約3割であり塞栓源の大半は心房細動である.心房細動を有する脳梗塞の特徴は,高齢女性に多く,梗塞巣の大きく,脳主幹動脈閉塞例が多く,発症時に重症であり転帰も不良であることがあげられる.発症前の抗凝固薬の使用は32%であり,ワルファリンの内服患者のPT-INRは,1.6未満が半数以上で治領域に達していない.入院中の再発は7.5%であり心房細動なし群とくらべ同じである.心内血栓は,経食道心エコー図検査で16.4%に血栓が検出される.退院5年後の死亡をみると,心房細動あり群がなし群より明らかに死亡率は高い.まとめると,心房細動を有する脳梗塞は,重症かつ転帰不良で,長期転帰も不良である.