2013 年 53 巻 8 号 p. 642-645
症例は77歳の女性である.めまい,構音障害で発症し,その後失調,見当識障害が出現し入院した.頭部MRI拡散強調像で,両側大脳皮質,被殻,尾状核に高信号病変をみとめ,髄液ではNSE,14-3-3蛋白,タウ蛋白が上昇し,脳波ではPSDをみとめた.プリオン蛋白遺伝子に特異的変異をみとめず,孤発性Creutzfeldt-Jakob病(CJD)と診断した.発症2ヵ月後にCheyne-Stokes呼吸(CSR)が出現し,およそ5ヵ月間持続した後,ミオクローヌス,PSDの減少と共に消失した.CSRは,まれながらもCJDの呼吸器合併症として留意すべき症状である.