2014 年 54 巻 11 号 p. 916-919
症例は72歳の男性である.某日体調異常を自覚,追突事故後,救急搬送された.左半側空間無視,左同名性半盲,左不全片麻痺があり頭部CTで右中大脳動脈M1の石灰化塞栓をみとめcalcified cerebral embolism(CCE)と診断した.血栓溶解療法の適応がありrecombinant tissue-type plasminogen activator(rt-PA)を経静脈的投与し著効した.治療後の頭部CTでM1の塞栓の消失,右中大脳動脈末梢にあらたに複数の点状石灰化塞栓をみとめ,血栓溶解療法にて塞栓子が破砕されたと考えた.頸動脈エコーで右内頸動脈に潰瘍をともなう石灰化病変をみとめ塞栓源と考えた.本例のように血栓溶解療法が著効した症例はまれであり,血栓溶解療法の適応について検討を要すると考え報告する.